LINE投資グループ《振込先》名義に要注意

2024年3月14日

昨年後半より被害が表面化し始め、急増している印象が強いLINE投資詐欺。

これはコミュニケーションアプリ『LINE』において、突如、自分のアカウントが《投資購入グループ》に自動追加され、投資の勉強会といった体で参加者同士が現在の株価や外国為替についてコメントを続けていく中、《先生》や《師匠》と呼ばれるプロの投資家が登場し、絶対に儲かる投資方法を指南する、というものです。

《先生》の指導の元、参加者は次々に数百万もの利益が出ている状況を投稿していき、高額入金の伝票や高級車の写真をアップするなどして歓心を誘います。

これに興味を持った人に対して専用の投資アプリの導入を勧めるなどして、指定の口座へ入金を促してお金をだまし取るのが一般的な手口となっています。


【LINE上の投資グループは100%詐欺】
LINEの投資グループチャットによる詐欺被害は2022年頃より散見されており、これは2021年9月のLINEアップデートにより、グループトークの作成時に相手の承認を得ずメンバーを追加可能な仕様へ変更されたことが原因とされています。

当法人でもこれまでLINE上の100件以上に上る投資勧誘グループをチェック、潜入調査も含めその実態を探ってきましたが、《先生》や《師匠》として登場する人物はもとより、アシスタントや秘書などと称する進行役、さらには1グループ最低5人程度登場するサクラについても実態はなく、プロフィール写真もすべて盗用した架空のアカウントであることが判明しています。

とくに《先生》や《師匠》として投資を指南する人物が実在の経営者や経済評論家、また有名な投資家をかたるケースもあり、それらの方々が実際に過去に発言した内容や、ウェブサイトおよび書籍などで発信した情報を散りばめることで、あたかも本人がこうしたLINE上での投資指南を行っている様に見せかけているため、本当にこんなすごい人が教えてくれるんだ、と信じてしまう人が後を絶ちません。

【こんな振込先口座はおかしい】
これらの手口に共通するのは、投資資金としてまとまったお金を指定口座へ入金させた後、さまざまな理由をつけて追加資金の投入を迫り、最終的には出金させない点です。

この指定口座というのが、金融庁に登録された正規業者のものであれば通常、心配は要りませんが、詐欺犯が指定する口座は金融業者とはまったく関係のない会社や個人名義の口座となっています。

そのような得体の知れない口座へ何の疑問も抱かずに多額のお金を入金してしまうことが、どれほど恐ろしいことか、冷静に考える必要があります。

以前は振込先の口座名義人が外国人であることが多かったのですが、現在では日本法人や日本人名義の口座が多数使われており、取引のたびに振込先口座の名義人が異なるなど不自然な点が多々あります。

また、振込先に指定される金融機関には三井住友銀行はじめPayPay銀行やGMOあおぞらネット銀行といったインターネット銀行などが使われています。

 
〔LINE投資詐欺で使われる口座の実例〕
 ■ PayPay銀行_ビジネス営業部_5981335_カ)マチヅクリカイハツ
 ■ 三井住友銀行_オリーブBLUE支店_2266842_スズキ タクミ
 ■ 三井住友銀行_オリーブBLUE支店_2262195_カトウ ケンジ
 ■ GMOあおぞらネット銀行_法人第二営業部_1250462_ド)インフィニティ
 ■ GMOあおぞらネット銀行_法人第二営業部_1633368_ド)ノア
 ■ GMOあおぞらネット銀行_にじ支店_2634404_オオタ コウキ
 ■ GMOあおぞらネット銀行_ビジネス第二支店_1034376_アールエスディフドウサン
 
【認可を受けた業者か確認を】
LINE投資詐欺などSNSを利用して投資勧誘する手口のターゲットは投資未経験者、もしくは投資経験の浅い人で、投資の経験不足を逆手にとってお金をだまし取っています。

そもそも投資資金を振り込む前に、その振込先がまっとうな業者であるかを先に確認する必要があります。

国内で投資商品を扱う業者は、FXや暗号資産(仮想通貨)なども含めて金融庁(各財務局)の登録を受ける必要があり、未登録の業者は法人であろうと個人であろうと他人から資金を預かって投資業を行うことはできません。

また、投資助言業者であっても法律で登録が義務付けられており、各地域の財務局や日本投資顧問業協会で登録されているか確認することができます。

LINE投資詐欺に限らず、当局への登録をせずに「株価の大幅な値上がりが見込める良い銘柄がある」などと勧誘する投資助言者は一定数存在しますが、そうした業者と取引する事は絶対に避けるべきでしょう。

LINE投資グループにおける勧誘では、必ずと言って良いほど《先生》や《師匠》と呼ばれる投資を指南する人物が登場しますが、投資助言業者や投資運用業者への登録がされていなければ法律違反となりますので、そのような違法行為を行う者に大切な資金を投入するのはリスク以外の何ものでもありません。

なお、プロ向けにファンドなどを斡旋する適格機関投資家等特例業務届出者や、金融商品仲介業者の中には正式に登録され、個人名義で業務を行っている方もおりますが、それもほんの一部ですので、投資資金の振込先が個人名義の場合は「これは変だぞ」と真っ先に疑う必要があります。

さらに法人名義であったとしても、それらの企業が登録を受けているのか否かをしっかり確認し、未登録業者であれば相手にしないことが、詐欺被害を未然に防ぐためには大切です。

政府が投資の推進に躍起になり、新NISAが喧伝されるなど身近に感じられる投資ではありますが、プロの投資家であっても株価や為替相場を予想して大儲けするようなことは、実際には不可能です。

仮に大当たりしたケースがあったとしても、それはほんの偶然でまぐれに過ぎません。

LINE投資グループのチャット内では《先生》や《師匠》と称する者が、もっともらしい理論を展開したり、FRBやら日銀の動向、各国の指数をいじくり回してさも予測が完璧にできている、などと吹聴していますが、そのほとんどが既に発表されたデータの後追いであったり、自分たちに都合よく改ざんされた内容であるなど、長年、投資に携わっている人であれば歯牙にもかけないでしょう。

投資に興味を持つこと自体はまったく否定しませんが、投資については信頼できる情報から基本を学ぶことが大切で、「大儲けできる」などと平気で言ってのける人たちの言う事を鵜呑みにすることだけは絶対にやめるべきです。

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