【年末へ増加中】還付金詐欺の電話が6割超〔都内〕

2023年12月13日

「払い過ぎた医療費が戻ります」などと医療費や保険料の還付をうたい、還付手続きを装ってお金を騙し取る《還付金詐欺》の電話が年末に向けて増える傾向にあります。

12月1日には岐阜県各務原市内の高齢者(70代)宅に市役所職員を名乗る男から電話があり、

「還付金の手続きについての書類を郵送したが、返信がありません。」
「早急に手続きをすれば、お金が戻るので、あなたの口座の金融機関名を教えて下さい。」

などと伝えられた後、金融機関の職員を名乗る男からも電話があり、

「通帳かキャッシュカードはありますか。」
「あなたのキャッシュカードは古いので、セキュリティが付いたカードに替えます。」
「今から職員を向かわせます。キャッシュカードを封筒に入れ、裏に名前を記入し、封印しておいて下さい。」

などと言われ、被害者宅を訪れた金融機関の職員を名乗る男にキャッシュカード1枚を渡してしまう被害が発生しています。

   ― 還付金の話からキャッシュカードをだまし取る手口 ―


還付金詐欺では「ATMで手続きします」などと言ってコンビニなどのATMへ誘い出し、ATMの操作を携帯電話越しに指示してお金を振り込ませる(いわゆる振り込め詐欺)手口のほか、還付金を振り込むにはカードを新しくする必要がある、などと言ってキャッシュカードをだまし取る手口(キャッシュカード詐欺盗)も増加しています。


【アポ電の6割以上が還付金の電話】
12月以降、年末にかけて還付金詐欺のアポ電は増える傾向にあり、直近1週間(平日)における警視庁管内で発生した特殊詐欺のアポ電では、還付金詐欺の電話が6割以上(12月7日~13日:平均67.8%)を占めており、オレオレ詐欺(平均17.5%)や警察官をかたるカード詐取盗(平均5.7%)に比べて件数が突出して多くなっています。
※警視庁メール配信情報より

 ― 警視庁管内_かたり手口別アポ電状況(詐欺防止ネットワーク集計値) ―


還付金詐欺の電話では、その多くが市役所や区役所の職員を名乗っており、《健康保険課》や《健康福祉課》といった具体的な部署名を出してもっともらしく話をしてきますが、以下のような特徴がありますので、だまされないよう注意してください。

〔特徴1〕
➡ 給付や還付があると言う。
「累積医療費の還付があります。」※累積医療費、という概念は存在しません
「生活支援金の給付があります。」
「医療費の戻り金が23,368円あります。」
「物価高なので補助金を配っています。」
「介護保険の払い戻しがあります。」
「医療費の見直しで2万円お金が返ってくるが、申し込みがされていません」
「医療費の還付金があります。30分後に銀行から電話が来ます。」

〔特徴2〕
➡ 緑色や青色の封筒、書類や通知を送った、と言う。
「11月31日が締め切りの緑の封筒が届いていませんか。」
「青色の封筒で書類を送っています。」
「茶色の封筒がきていますか」
「医療費還付の通知が届いていませんか」
「65歳以上の方の医療費控除の関係で9月に書類を送付しました。」

〔特徴3〕
➡ 期限が切れている、と言う。
「期限が過ぎていますが、今なら対応できます。」
「本日中であれば、特別に手続きが出来ます。」
「申し込み期限が切れているので、こちらからまたかけ直します。」
「まだ手続をされていないので、お電話しました。」
「高齢者を対象とした還付金の手続きが未了です。」
「すでに手続きの期限が切れているので、こちらで代わりに手続します。」

〔特徴4〕
➡ 銀行口座について尋ねる。
「どちらの口座をお持ちですか。銀行のものから連絡がいきます。」
「手続きのために、お使いの銀行口座を教えてください。」
「お持ちの通帳の銀行を教えてください。」
「あなたの口座番号と電話番号を教えてください。」

〔特徴5〕
➡ ATMに行くよう指示する。
「カードを持ってUFJ銀行のATMに行ってください」
「ATMで手続きをしますので、ATMに着いたら連絡ください。」
「銀行職員から連絡をするのでATMに行って指示に従ってください。」
「書類の締切期限が過ぎていますが、銀行やコンビニのATMで累積医療費が戻ります」


また、「この後、銀行からも電話があります。」などと言われた後に、銀行員を名乗る者からキャッシュカードが使えないなどと言われ、カード交換の説明を受けるケースもあります。

〔特徴6〕
➡ キャッシュカードが古いので新しいものに交換する、と言う。
「防犯機能付のキャッシュカードに替える必要があります。」
「今のカードは古いので還付手続きができません。」
「カードを運送業者の者に取りに行かせる。」
「古いカードを回収するサービスがあります。」
「ICチップ入りのカードに替えないと手続きできません。」

このような説明をした上で、「担当の行員がお宅へ伺い、古いカードを回収します」などと訪問の口実をつくり、キャッシュカードを盗み取るため詐欺犯が自宅まで来てしまう恐れがあるため、行員などが家に来ると言った場合はすぐに警察へ通報し、絶対に家へ入れてはいけません。

【詐欺を見抜くポイント】
本来、還付金は《自発的に申請しなければ還付されない》のですが、詐欺グループは「以前、緑色の封筒を送って通知しているのですが、見ていませんか?」「何も連絡がなかったので確認のお電話です」などと、さも私たちに見落としがあったかのように話してきます。

そして「すでに期限が切れているのですが、本日中であれば手続き可能です」、「期限が迫っているので巡回中の職員をご自宅へ向かわせます」などと話し、私たちにゆっくり考える時間を与えず、冷静な判断ができないよう仕向けてきます。

しかし、還付金の受取りを銀行やATMで手続きすること、さらに還付金の手続に役所や金融機関の職員が自宅を訪問することは絶対にありません。

そもそも《還付金の案内》が役所や金融機関から来ることは絶対にありません。


【介護保険料の詐欺も】
還付金詐欺のアポ電では医療費の還付のほか、「介護保険料が戻ります」といった介護保険に関する還付金詐欺も散見されますが、介護保険料が還付金として戻ることは通常、ありません。

介護保険料が還付されるのは、被保険者が死亡したり市外へ転出するなど、資格喪失に伴う減額の更正が生じ、納めた保険料額が過納と認められた場合に限られます。

この他、所得更正や介護保険料の二重払いなど過誤納付等で保険料が過納となる場合もありますが、いずれの場合でも返金手続きの連絡は文書にて通知されます。

たとえば被保険者が死亡した場合、役所の介護保険課等で保険料の精算を行い、納め過ぎた保険料があれば相続人に対して「還付通知書」を送付します。

また、市外へ転出した場合や所得更正、過誤納付等の場合は本人宛に、介護保険料還付関係の通知書が届きます。

還付原因や市区町村によって通知文書の内容は異なりますが、「介護保険料還付通知書」や「介護保険料還付金請求及び受領申立書」、「過誤納金還付兼充当通知書」といった通知書が役所から届きますので、被保険者や相続人は必要事項を記入した還付金請求書を提出する必要があり、その後およそ3ヵ月程度の期間をおいて還付金が口座振込によって支払われます(行政によっては窓口受取もあり)。

このような手続きは国民健康保険料などの健康保険料の還付も同じで、基本は役所と書面のやり取りを行い、きちんと証明書類を用意する等しなければ還付金を受け取ることはできません。


【役所から連絡は来ない】
還付金の制度は確かにありますが、医療費や介護保険料、健康保険料などすべてにおいて、還付金を受け取るには書面で申告する必要があり、役所の方から連絡が来ることはまずありません。

一部、「通知書」が送付されるケースがありますが、返信や資料提出も書面で行うのが通常で、電話が突然かかってきたり、ATMでの手続きやキャッシュカードの交換がどうのという話が出た場合は、100%詐欺ですので信じてはいけません。

還付金詐欺のポイントをしっかり押さえ、被害に遭わないよう十分に注意してください。

新着情報一覧

▲ページのトップへ