《電話番号が漏洩》総合通信基盤局をかたる詐欺

2024年2月4日

総務省の内部部局の一つである総合通信基盤局の職員を装い、「あなたの電話番号が漏洩している」、「あなた名義の携帯電話が契約されている」などと話し、個人情報を不正に聞き出そうとしたり、トラブル解決名目でお金を振り込ませようとする詐欺の電話が増えています。

福島県内では今年1月末にかけて、総合通信基盤局を名乗る男からの不審電話が複数確認されているほか、東京都江東区内でも2月に入り、総務省をかたる者からウソの電話が入っています。

福井県では昨年10月から11月下旬にかけて、同様の電話を受けた70代男性が、「資産を凍結する」、「凍結を免れるため検察庁の口座へ資産を移す必要がある」などと言われ、指定された8つの銀行口座へ合計約7,200万円を振り込み、だまし取られる被害が発生しています。

これらの不審電話では、《電話番号が勝手に契約されている》といった電話番号の不正利用について説明した後、《警察から詳しく話を聞く》などと警察へ被害届を出すよう促しており、この流れの中で、詐欺犯は個人情報を聞き出したり、多額の被害が発生しているため弁済する必要がある、などとお金を要求しています。

こうした事例はこれまでも全国で頻発しており、以下のように3段階で話が進められていく点が共通しています。

1)あなたの携帯が犯罪に利用されている
「あなたの名前で携帯電話機が契約され、その携帯から迷惑メールが送信されている」
「あなたの携帯電話が投資詐欺に使用されています」
「あなたの家族の個人情報を使って携帯電話の契約がされています。」
「あなたのスマートフォンにウイルスが入っている」

2)このままでは電話が使えなくなる
「1時間後に使えなくなる措置をとります」
「手続きをしないと携帯電話機が使えなくなる」
「手続きしないと電話を止める」
 ※「資産が凍結される」「口座を差し押さえる」といったパターンもある

3)警察に届け出るよう促す
「警察に被害届を出してください」
「被害の届出を出すのであれば、これから電話を警察署に転送する」
「相談は近くの警察署ではなく、東京の警察署にしてください。」

この3段目で警察官や検察庁職員を装う者が登場し、個人情報を詳しく聞き出したり、インターネットバンク口座を開くよう指示し、預金を振り込ませるなどして現金を奪います。

【複合的な劇場型詐欺に注意】
総務省や総合通信基盤局をかたるアポ電において、犯人は「あなたの電話が犯罪に使われている」などと不安に陥れた後、今度は警察官役の犯人が登場するなど、次から次へと相手が入れ替わることで私たちに考える隙を与えず、冷静な判断力を奪って自由にコントロールしようとしてきます。

このように複数の役割の人間が登場するケースは劇場型詐欺と呼ばれており、昨年9月から10月にかけて宮城県で発生した事案では《関東総合通信局の職員》➡《警察官》➡《検察庁職員》と矢継ぎ早に話す相手が変わることで、被害者は冷静な判断ができずにお金を奪われています。

この事件では、登米市在住の60代男性に関東総合通信局の職員を名乗る男から「あなた名義の携帯電話や通帳が勝手に使われている」などと電話があり、その後、警察官を名乗る男が「犯人を逮捕してあなた名義の携帯電話や通帳を押収した」と話し、数日後に今度は検察庁職員を名乗る男から「警察ではあなたも犯人である可能性を視野に捜査している」「ネットバンク口座を開設して、試しにお金を振り込んで取引できる状況か確認するように」などと指示しています。

話を信じた男性はネットバンクを開設して預金290万円を振り込んでしまいました。

劇場型詐欺の目的は、私たちが冷静になって考える時間を持てないようにすることで、まずは大きな不安に陥れ、次にその解決策を提示して、意のままに操ろうとするものです。

総務省職員や警察官、さらに検察庁職員など公権を持った相手の場合、疑いもせず指示を聞いてしまいそうになりますが、慌てず冷静に対処できるよう、このような詐欺の手口を知っておくことが大切です。


【総合通信基盤局から電話は来ません】
総合通信基盤局は内閣府の内部部局の一つで、通信市場における固定電話網や無線通信に関する環境構築や整備、電波の有効利用推進といった通信インフラ基盤に関する業務を担っており、私たち個人の携帯電話等の契約内容を管理しているわけではありません。

そのため、総合通信基盤局から私たち個々人の電話番号について問い合わせをしたり、個人情報を聞き出すといったことは絶対にありません。

総合通信基盤局によると、1月11日の時点で関東総合通信局など各エリアの通信局をかたる電話のほか、「総合通信基盤局移動通信課」や「利用環境課及びデータ通信課」などの部署を名乗る不審電話も確認されているとのことです。(総務省の注意喚起参照)
 ➡ 総務省『総務省職員を名乗る不審電話にご注意ください』

自分の携帯電話が不正利用されていたり、自分名義で勝手に携帯電話の回線契約が結ばれている、などと言われれば、誰でも慌ててしまうかもしれませんが、総合通信基盤局など総務省関連の部署から電話が来ることはありませんので、だまされないよう注意が必要です。

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