【危険!】SNSや出会い系サイトで投資に誘われる

2023年11月29日

SNS上で知り合った相手や、マッチングアプリ等の出会い系サイトで知り合った相手から投資勧誘される詐欺事案が増加しています。

10月下旬には北海道厚別警察署管内で、SNS上のダイレクトメールで外貨購入による投資話を持ち掛けられた被害者が、インターネットバンキングで複数回にわたり計約800万円を振り込み、だまし取られる被害が発生しています。

これらの投資詐欺はスマートフォンを媒介して行われることが多く、SNS上の交流サイトなどで投資家勉強会などと称して投資参加者を募集するケースや、SNSアカウントに異性から連絡が来たり、マッチングアプリの相手から投資に誘われるケースもあります。

とくに異性から勧誘されるパターンにはロマンス詐欺の要素が含まれており、異性への恋愛感情を逆手に取って信用させ、けして対面で会うことなくネット上でのやり取りのみで、多額のお金を奪い取るのが特徴です。

被害は男女ともに20代から60代と広い世代で発生しており、相手が外国人であるケースも多く、素性の知れない者からの儲け話には注意が必要です。

【外国通貨取引の専用アプリ】
こうした投資詐欺では外国通貨を対象としたFXなどで儲かると持ち掛け、専用アプリをインストールさせてお金をだまし取る手口がポピュラーとなっています。

この専用アプリとは、詐欺犯が自作した偽のマーケット情報や口座残高を表示するもので、預けたお金が数倍に増えるなど大きな利益が出ている様に見せかけていますが、実際は架空の取引であってデタラメな内容です。

被害者はアプリ画面上では大儲けしていると錯覚し、より多くの利益を得るため多額の資金を追加してしまい、被害が高額化する傾向にあります。

【暗号資産の現金化手数料】
福岡県では今年7月、東峰村居住の高齢男性がSNSで知り合った外国人女性を名乗る者から、暗号資産での投資話を持ち掛けられ、「現金化には手数料が必要」などと言われ、複数回にわたって指定された口座に現金を振り込む被害が発生しています。

投資詐欺では、偽のFX口座や暗号資産口座にお金を振り込ませ、引き出そうとすると手数料や違約金等の名目で現金を要求する手口が常套手段となっており、最悪の場合は「口座が金融庁に凍結された」などと言われて口座が消滅するケースもあります。

今年9月には北海道室蘭市内において、SNSで知り合った相手から投資を勧められ、暗号資産投資用アプリをダウンロードして約40万円を振り込んだ後、500万円の利益が出ているが引き出すには手数料が必要などと言われ、11月8日までの期間に計600万円以上をだましとられる被害も発生しています。

【副業詐欺にも注意】
SNS上では副業詐欺も横行しており、副業に応募したところ高額なデータ購入を要求されたり、違約金名目でお金を要求される事案が発生しています。

佐賀県唐津市では11月17日、20代女性がSNSの副業広告を通じて知り合った相手から、SNSの投稿者に「いいね」のボタンを押す作業で報酬が貰えると誘われ作業したところ、あなたが操作を誤ったので違約金がかかるが、手続きが終われば利益と併せて支払った違約金が返還される、などと違約金名目で計114万円を送金する被害に遭いました。

【その他の事例】
・60代男性がSNSを通じて知り合った自称台湾人の女性から、私が取引をしているネットショッピングに出資してお金を儲けないか、などと持ち掛けられ、指定された口座に合計135万円を送金してしまった。(佐賀県伊万里市)

・50代男性が今年8月、出会い系サイトで日本人女性を名乗る相手と知り合い、暗号資産での儲け話を持ちかけられ、指定された口座へ8月6日から11月20日までの間、合計約4,000万円を送金してしまった。(佐賀県鳥栖市)

・60代女性が11月8日から21日までの間、アメリカ国籍の男性を名乗る男性やカナダ国籍を名乗る男性から軍の退職金で2億2,000万円を手にしているが、一旦お金を預かって貰いたい、余命わずかな母親に会うために帰国したい、飛行機代を立て替えてほしい、などと言われて相手の指定口座へ計約90万円を送金してしまった。(佐賀県杵島郡)

このほか、SNS上には投資案内をうたった海外金融取引業者や有名(自称)投資家が散見され、莫大な利益を上げていると喧伝しており、彼らに連絡を取ると、FXなどで元金の数百パーセント以上のリターンが見込める、などと説明され、資金を預けるよう指定口座への入金を促されます。

しかし、その後も様々な理由をつけて追加入金を要求し、最後に詐欺犯は現金を引き出して逃げてしまうため、手元にお金が戻ってくることはまずありません。

【資金の預入先に注意】
現在、「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズに併せて2024年からは新NISAも始まり、投資に興味を持つ人も増えているようですが、初心者が投資詐欺に遭わないため、まず第一に押さえておかなければならないのは、株式や債券、FXなど投資対象に関する知識でもなんでもなく、資金を預ける窓口はどこか?という点に尽きます。

国内で取引されている投資商品はすべて金融商品取引法の対象※1となっており、有価証券やデリバティブ取引、また仕組預金や外貨預金、さらに金利・通貨スワップ取引なども含めすべての商品が国によって規制されています。
※1 商品先物取引(国内)やゴルフ会員権は対象外

さらに、それらの投資商品を販売する業者も金融商品取引法によって規制されており、証券会社をはじめ、投資顧問会社や資産運用会社といった金融サービス会社はすべて、金融庁所管の各財務局への登録が義務付けられています。

私たち一般の投資家は、この金融商品取引業者として登録を受けている「金融商品取引業者」、「金融商品仲介業者」、または「金融サービス仲介業者」といった販売会社※2を窓口として資金を預けなくてはいけません。
※2 例外として銀行、信用金庫、または信用組合等の金融機関も金融取引業務を行うことができます。

そのため投資初心者の場合、証券会社※3や銀行、郵便局を窓口として投資用口座を開き、資金を預けるのが基本といえます。
※3 「金融商品取引業者」の登録確認は必須

それ以外の金融サービス会社(法人または個人)であれば、「金融商品取引業者」や「金融商品仲介業者」、「金融サービス仲介業者」として登録されているか確認し、登録されていない場合は絶対に資金を預けてはいけません。

投資詐欺においては、資金の振込先として法人や個人名義の銀行口座が指定されるケースがほとんどですが、その振込相手が金融商品取引業者として登録されているか否かが、詐欺を見抜く第一のポイントといえます。

登録の無い法人や個人の口座は、犯罪組織が利用している架空口座や転売口座(売買・譲渡)の可能性が高く、そうした口座へ入金したお金はすべて反社会勢力に流れ、二度と戻ってこないと考えるべきでしょう。

【海外FXや暗号資産は要注意】
SNSなどを悪用した投資詐欺では外国為替証拠金取引(FX取引)や暗号資産、この2つを組み合わせた暗号資産FXが勧誘材料となっていることが多く、中にはバイナリーオプションといったギャンブル性の高い取り引きで高額の投資を勧誘するケースもあります。

いずれの場合も海外に拠点があり、投資用のプラットフォームやアプリも海外製のものが使われていますが、詐欺犯は「日本国内では実現不可能な高利率、ハイリターンを狙える」などと海外投資のメリットを強調して信用させようとしてきます。

しかし、海外所在業者であっても日本国内で営業(インターネット上も含む)するには上述の金融商品取引業者としての登録が必要で、無登録の場合は違法であることはもちろん、投資者保護の補償も一切ありません。

そもそも実態があるのか定かでない場合が多く、表記された海外の住所が架空のケースもあり、そのような得体の知れない相手にお金を預けること自体、お金を捨てるようなものです。

また、暗号資産についても「暗号資産交換業者」としての登録が義務付けられており、海外拠点の業者であっても登録は必須ですので、無登録の暗号資産交換業者にお金を預けてはいけません。

これらの海外業者は先進的なグローバル金融サービス企業であると喧伝し、通常では考えられないハイリターンが見込めるとして、輝かしいな成功事例や高額資産を手にした者の体験談を交えて私たちを勧誘してきます。

しかし、その実態を確かめる術もなく、国による補償も一切受けられない相手を投資先に選ぶことは、単に犯罪組織に献金しているだけ、と言わざるを得ないでしょう。

いかに魅力的な投資勧誘を受けたとしても、「もしかして詐欺ではないかな?」と一度立ち止まり、資金をどこに預けるのか確認した上で、最低限、国の登録を受けた相手に大切なお金を預けるようにしてください。

尚、各登録業者については金融庁のウェブサイトでリストを確認できます。
➡ 免許・許可・登録等を受けている業者一覧(金融庁)

【投資初心者の方へ】
金融庁の登録を受けた「金融商品取引業者」や「金融商品仲介業者」、「金融サービス仲介業者」、ならびに銀行や郵便局であっても、複雑な仕組みの債権や為替リスクの高い外国債券を売りつけるなどの不適切販売が横行しており、直近では三木証券や千葉銀行、ゆうちょ銀行における問題が表面化しています。

本記事ではあくまで投資詐欺に遭わないための情報を記載していますが、投資商品の内容についての理解も大切ですので、投資初心者の方々は証券会社や銀行などの言う事を鵜呑みにせず、手数料や維持管理費について把握するとともに、商品のしくみが理解できるものにだけ投資するようにしてください。

現在の利率では預貯金口座のお金を大幅に増やすのが難しいのも事実ですが、だからといって知識が十分でない投資にむやみに資金を投入するよりはマシという考え方もあります。

すべての証券会社や銀行が不適切販売を行っているとは言いませんが、彼らは顧客から預かった資金を増やす以外に、一定の手数料を差し引くことでも利益を上げているため、収益達成のため無理な勧誘を行う素地がなくなることはありません。

自分のお金がどのように扱われるのか、投資商品のしくみはどうなっているのか、しっかり勉強してからでも投資デビューは遅くありません。


〔本記事に関する補足〕
本記事の内容は、資本金が数億円以上といった特定投資家(プロ)は対象外であり、あくまで一般投資家(アマ)に区分される方々を対象としています。

また、J-REIT等の会社型投資信託(投資法人)も本記事の対象外となります。




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