著名人のフェイクニュースで投資詐欺サイトへ誘導

2024年4月23日

柳井正氏や宮崎駿氏が生放送中の発言で日本銀行に提訴された、などと著名人の名前を使ったフェイクニュースで投資サイトへ誘導する詐欺広告の拡散が続いています。

昨年12月中旬以降、ファーストリテイリング社長の柳井正氏と政治評論家の寺島実郎氏との対談や、アニメ監督の宮崎駿氏と岩本乃蒼アナウンサーとの対談を装い、暗号資産やFXの取引サイトへ誘導するX(旧Twitter)の広告やgooニュースを模した詐欺サイトが拡散しましたが、現在も散発的にフェイク記事が確認されているため注意が必要です。

      ― gooニュースを模したフェイク記事 ―


gooニュースを模した記事では、柳井氏や宮崎氏の主張としてFXや暗号資産のAIプラットフォームを使えば、何もせずに約4万円が4ヶ月以内に1億円まで増やせる、などと発言したことに対し、生放送中に日銀からクレームが入った、という内容になっています。

このフェイク記事にはTOKYO MX「寺島実郎の世界を知る力」やNews Zeroにおける対談中の画像が無断で使用されており、記事の提供元として「読売新聞オンライン」のロゴが表示されるなど、一見すると正規の記事のように思えてしまいます。

さらに《マーティン・ウォルシュ 》なる編集者が実際にAIプラットフォームを試したところ、たった1週間で数十万円もの利益が出たという結果が示され、最後に当該プラットフォームの登録方法が表示され、詐欺サイトへ誘導する仕組みになっています。

なお、誘導先のAIプラットフォームは「BullMarkets」や「BTC Avagae 8.0」、「BTC Avage Pro」、など数種類が使われているため、今後も新たなプラットフォームによる別バージョンの拡散が推測されます。

【高度化する勧誘形態】
SNSや検索サイトを利用していると、《そりゃ儲かるわ!目からウロコの投資術》や、《年収1億超える人のたった一つの習慣》、といったキャッチーなコピーで興味を引く投稿や記事が散見され、いずれも特定の詐欺サイトへ誘導したり、LINEなどのメッセージアプリへ呼び込んで投資勧誘を行うのが常套手段となっています。

さらに、著名人になりすまして《稼げる方法教えます》などと投資勧誘を行うケースもあり、これまで前澤友作氏や堀江貴文氏、森永卓郎氏といった起業家や経済アナリストをはじめ、アナウンサーや芸能人など、影響力のある方々をかたったフェイク記事も増えています。

著名人の名前や画像を用いて権威性や信憑性を高めるのは詐欺や悪質商法でお馴染みの手口ですが、暗号資産やFXの取引サイトへ誘導する記事の中では、《専門家が「シグナル」と呼ぶ37の金融指標》やら《自己学習アルゴリズムがリアルタイムで全変数を分析》などと、実際には意味不明ながらもっともらしい言葉を織り交ぜ、さらに架空の記者による体験レポートまで添えるという徹底ぶりで、非常にレベルが高くなっています。

ただし、《数日後にはプラットフォームへの登録が有料になる》、《今すぐ口座を開設することをおすすめします》といった発言が盛り込まれたり、《登録可能人数 残り126人》と表示して登録を急かすなど、希少性の原則を応用した詐欺特有の煽り広告要素が強い点で、十分に警戒すべき対象として認識できます。


【投資詐欺のしくみ】
現在、インターネット上で展開される投資詐欺の多くは、FX自動売買システムなどのAIプラットフォーム内で資金の運用を行わせ、最終的には資金が引き出せない、もしくは証拠金維持率ゼロのロスカットによって資金全額が消えてしまう、といった仕組みになっています。

     ― AIプラットフォーム「BullMarkets」のチャート画面 —


AIプラットフォームを利用するにはユーザー登録が必要となるため、氏名や電話番号、メールアドレスの登録が求められます。

この段階で個人情報が相手に伝わってしまうため、たとえば登録した電話番号に050等の番号から執拗な勧誘電話を受けたり、メールアドレスに膨大な迷惑メールが届く恐れがあります。

さらに、資金の入金方法がクレジットカードの場合、カード情報が知られてしまうことにより、第三者によって勝手にカードを利用されるリスクが高まります。

     ― クレジットカード情報の入力画面 ―


こうしたAIプラットフォームなどの取引ツールに関しては、たとえ海外の事業者であっても金融商品取引業者(投資助言・代理業)としての届け出が必要ですが、これらの業者は無登録で業務を行う違法業者です。

無登録業者を利用しないことは、投資詐欺被害を防ぐ最低限のルールです。

著名人をかたったフェイクニュースは今後も増え続けることが予想されますが、まず著名人が投資やお金儲けに関する情報を発信したり、特定のツールを勧めたりすることは絶対にありませんので、《楽して儲ける》といったウマイ話には十分に注意してください。

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