《災害便乗商法》への注意喚起・被災者支援情報

2024年1月6日

令和6年能登半島地震により多数の尊い人命が失われたことに深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々とそのご家族、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

被災地の皆さまの安全と、一日も早い復興をお祈りいたします。

被災地では現在も懸命の救助活動が続けられていますが、このような状況下において、被災者支援を装った悪質商法など詐欺まがいの行為が確認されています。

新潟市西区黒埼地区では4日、県外ナンバーの車に乗った男女が高齢女性宅を訪れ、「液状化による泥を4万円から5万円で処理する」などと言って汚泥を回収した後、一方的に「費用は20万円」と当初の提示額の5倍に上る金額を請求し、女性が20万円を支払わされる被害が発生しました。

災害発生後は、《汚泥の処理》や《床下の消毒》、《ブルーシートの販売》などの業務を勧誘して法外な費用を請求するケースの他、「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」、「住宅修理業者が保険金の申請を代行する」といった《保険金が使える》と勧誘して高額な手数料を請求する事例が頻発するため十分な注意が必要です。


【災害時の悪質手口】
現在、国や自治体においても被害状況の全容が十分に把握できておらず、このような混乱状態を逆手に取って被災者に近づき、高額な費用を請求する悪質商法については、これまでも以下のような手口が確認されているため注意してください。

〔ケース1〕泥のかき出し、廃棄物回収で高額請求

被災したお宅へ業者が押しかけ、壊れた食器や家財道具の引き取り、がれきの撤去、液状化現象による泥のかき出しの請負業務を持ち掛け、数万円から数十万円もの高額な料金を請求するケースが確認されています。

 〇 作業前に見積書を出してもらう(できれば複数の業者に)
 〇 お金はその場で支払わない(後払いできない業者は断る)
 〇 強引な勧誘や勝手な作業は警察に通報する


中には、市役所職員を装って家屋の片付けやドロ掃きの手伝いを申し出た上で、後で高額な手数料を要求するケースも過去に発生しているため、役場を名乗る者にも注意してください。
※行政職員が家屋の片づけを手伝って料金を請求することは絶対にありません。

〔ケース2〕屋根の補修、ブルーシートで高額請求

見積り依頼のために業者を呼んだにも関わらず、勝手に屋根にビニールシートをかけられた上、高額な作業料金を請求されるケースや、ブルーシートを無料で張ると言って簡単な作業を行った後、ブルーシートの材料費など20万円近くの作業費用を請求される事例が確認されています。

また、屋根瓦が崩れた家屋の住人に対し、高額な見積もりを出した上で「先に手付金を払えば優先的にやります」などと言って手付金を受け取った後、連絡が取れなくなる事例もあるため注意が必要です。

 〇 作業前に見積書を出してもらう(できれば複数の業者に)
 〇 お金はその場で支払わない(後払いできない業者は断る)
 〇 手付金や前払い金を要求する業者は断る

〔ケース3〕浸水した床下等の消毒で高額請求

津波により家屋が浸水被害に遭った被災者宅を訪問し、「補助金が出るので家屋の消毒を請け負います」などとウソを言って被災者を騙し、不当に高額な料金を請求する悪質業者があります。

「浸水したお宅の消毒を、市役所から依頼された」などの電話がかかってくることもありますが、頼みもしないのに行政側から消毒作業をあっせんする事はありません。

市役所の保険課、環境課、住宅課、健康推進課等の《窓口》で「床下・床上消毒」を受け付け、指定業者を派遣したり紹介することはありますが、これらは被災者自ら罹災証明など必要な手続きを経て利用できるものです。

 〇 消毒作業は市区町村の指定業者に頼む
 〇 複数の業者から見積もりを取って検討する

市から補助金が出るケースもありますが、その場合でも市の指定業者であるか確認したり、補助金額と作業見積額を確認の上、判断すべきでしょう。


〔ケース4〕保険請求サポートをうたう業者

「火災保険の申請を請負います」、「火災保険で屋根の修理が無料でできます」、「家財道具の補償金が出ます」などと告げて補修工事を請け負い、高額な手数料を取ったり、強引に契約を結ぶ手口も近年増加傾向にあります。

悪質業者は被災家屋を訪問して回り、「保険金で家を修理しませんか」などと持ち掛け、「保険金が出るので、自己負担なしで修理できますよ」、「手間のかかる保険金請求の手続きも、代わりにやってあげますよ」などと勧誘してきます。

こうした業者は保険金請求サポート契約をさせてから、高額な手数料を請求する事が目的であったり、工事自体もその業者が請け負うことになり、本来は無料でできた工事も行政の補助が認められずに結果として有料となるケースもあるため注意が必要です。

 〇 まずは、契約している保険会社または代理店に相談する
 〇「後から申請すれば費用が返って来る」と言われても役所に確認する
 〇 不審に感じた場合は消費者センター(消費者ホットライン:188番)へ通報する

保険金請求の代行を口実にする業者の目的は《自社で工事を請け負う》ことにあるため、工事ありきで保険申請の話をしてきますが、保険請求と工事が一体化した事業者に依頼するメリットは何もありません。

この他、「災害で被害にあった家屋にお見舞金が出る」という電話が突然かかってきて、いくつかの質問に答えたところ、翌日リフォーム業者が訪問してきて、不要な修理の勧誘を受けるケースもあります。

後でキャンセルしようとすると、見積額の35%を違約金として申し受ける、などと高額なキャンセル料を請求する悪質なケースもありますが、違法な契約は無効で契約解除も可能ですので、一人で悩まず、最寄りの消費生活センターへ相談してください。

➡ ここに注意! 悪質業者のアプローチ事例

 ① 「自己負担なく修理できるので見積もりを作らせてほしい」

 ② 「火災保険や地震保険の申請を代行してあげます」

 ③ 「災害で被害にあった家屋にお見舞金が出ます」

 ④ 「被害状況を確認しています。屋根の点検も無料でできます」

 ⑤ 「今すぐ工事しなければ雨漏りしてし大変なことになります」

 ⑥ 「給付金190万円が貰えるので修理した方がいいですよ」

【ボランティアにも注意】
大多数のボランティアの方々は誠心誠意、復興支援のため被災地入りされているはずですが、中にはボランティアを装い、悪意を持って被災者へ近づく者がいるのも現実です。

5日にはボランティアと称する愛知県刈谷市の男子大学生が石川県輪島市内の住宅に侵入し、高級ミカン6個(時価約3000円相当)を盗んで逮捕される事件が発生しています。

ボランティアを装う者は、困窮している方々の窮状へつけ込む形で善意をアピールしながらアプローチしてくるため、断り切れずに作業を依頼してしまったり、お金を要求されれば仕方なく支払ってしまうケースもあるようです。

仮にボランティアと思って作業を依頼した人から金品を要求された場合、迷わず警察や消費生活センターへ通報して構いません。


【その場で契約しない】
上述の通り、被災者を狙った悪質商法の手口は多種多様ですが、安易に契約せず見積書をしっかり取って検討する時間を持つことと、名刺をもらって社名や住所を確認することも大切です。

悪質業者は後でクーリング・オフされないよう、見積書や領収書などの証拠書類を出したがらない傾向にあります。

また、社名や住所などを偽っているケースもあるため、書類があるからといって安心はできません。

そのような業者に騙されないよう、見積書の確認だけでなく、信頼できる業者であるか調べるといった冷静な対応が求められます。


【参考情報】~災害救助法の適用~
能登半島地震による被害を受け、石川県、新潟県、富山県及び福井県の47市町村(35市、11町、1村)に対して災害救助法の適用が決定されました。
※適用区域は内閣府「令和6年能登半島地震にかかる災害救助法の適用について(第2報・1月1日22時公表)」をご確認ください

適用区域では避難所の設置や福祉避難所の設置、応急仮設住宅の供与、炊き出し等の食品、飲料水の供給、被服や寝具の給与や貸与などが行われるほか、医療及び助産といった医療費、被災者の救出経費、住宅の応急修理費、学用品の購入費などの費用について救助が受けられます。

また、障害物の除去(自力で除去できない場合)についても経費(1世帯当たり13万円程度)が救助されます。

ただし、救助内容によって被災後7日間や10日間などと期限が決められていますので、申請する場合は早めに各自治体への相談が必要です。

また、罹災証明書が必ず必要となりますので、申請に必要な写真(被災直後の家屋の被災状況、全景だけでなく様々な角度、アップの写真などできるだけ多く)を撮影しておくことも大切です。

各県における被災者支援に関しては、現時点(1月6日19:00)で以下の通り公表されています。

なお、石川県については6日、被災者生活再建支援法に基づく「被災者生活再建支援金」の支給が決定しており、住宅の被害程度と再建方法に応じた支援金が支給されます。

この支援金は、定額・渡し切りで使途の制限もありません。
また、世帯主の年齢や所得による制限はなく、一定以上の被害を受けた被災世帯全てが対象となります。

【石川県】
 「目的別・令和6年(2024年)能登半島地震に関する情報」
 「被災者生活再建支援制度」

【新潟県】
 「令和6年能登半島地震による住宅の応急修理について」
 「生活再建に向けた県の支援等をご案内します(令和6年1月5日時点)」

【富山県】
 「令和6年能登半島地震による被災者支援パッケージ」

【福井県】
 「【令和6年能登半島地震】福井県内の状況」


この他、災害救助法が適用された場合、生命保険や損害保険など各種保険については、保険料払込猶予期間の延長(最長6ヵ月)や、保険金・給付金・契約者貸付金の支払いが簡易迅速に受けられます。

詳細は契約している各保険会社へ照会するか、各保険協会の専用ダイヤルへ問い合わせてください。

〇生命保険協会(生命保険相談所)災害時受け付け専用連絡先 0120-001-731
 月~金 9:00~17:00(土日祝日・年末年始除く)

〇日本損害保険協会(自然災害等損保契約照会センター) 0120-501-331


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