新札(日本銀行券)発行『現行紙幣を回収』は嘘!

2024年6月5日

約1か月後の7月3日、新しい日本銀行券が発行されますが、引き続き現行の日本銀行券は通用しますので、「今の紙幣は使えなくなる」といった詐欺行為に注意してください。

改刷が行われるのは1万円券(渋沢栄一・東京駅丸の内駅舎)、5千円券(津田梅子・藤花)、千円券(北里柴三郎・富岳三十六景)の3種で、寸法は縦・横ともに現行券と同じですが、世界初となる肖像の3D画像が回転する最先端のホログラムや高精細なすき入れ模様を導入するなど偽造抵抗力が強化されており、券番号も現行の最大9桁から10桁へ変更される予定です。

このように最新の偽造防止技術が採り入れられた新紙幣ですが、現行の紙幣が使えなくなるようなことは一切ありませんので、「今のお金が使えなくなる」や「新キャッシュカードへ切り替えが必要」といった嘘の電話に注意が必要です。

【全国銀行協会を名乗る電話に注意】
紙幣などお金に関する特殊詐欺のアポ電では、「全国銀行協会」を名乗るケースが非常に多く、新紙幣発行に伴い、以下のような詐欺の電話が予想されます。

「7月からの新紙幣発行に伴い、現行の紙幣は使用できなくなります」
「順次、古い紙幣は回収して、新紙幣への交換を行います。」
「自宅で保管されている紙幣については、金融庁の職員が巡回して回収の上、口座へ新紙幣を振り込みます」

繰返しですが、新しい紙幣の発行後も現行紙幣は使えますし、銀行が新しい紙幣への交換業務を行うことはありません。

なお、全国銀行協会は実在する法人ですが、銀行の決済システム運営やコンプライアンスの推進といった銀行業務に関する活動を主としており、一般の預金者に電話をかけたり訪問することもありません。

全国銀行協会や金融庁の職員を名乗る者から電話があったり、自宅へ訪問して現金を回収する、などと告げられたらすぐに警察へ通報してください。

【銀行法の改正はウソ】
元号「令和」への改元時には、改元名目で《銀行法が改正される》などとウソを告げてキャッシュカードをだまし取る特殊詐欺が発生しました。

今回の新紙幣発行のタイミングでも、同様の手口で以下のような詐欺の電話が予想されます。

「新紙幣発行にともない、銀行法が改正されるので、キャッシュカードも不正操作防止用カードに変更する必要があります。」
「全国銀行協会の者が巡回訪問して古いキャッシュカードを回収します。」

このような電話を受け、相手が古いキャッシュカードの回収や新しいキャッシュカードの発行手続き名目で訪問しようとした場合は、すぐに警察へ通報し、絶対に家へ入れてはいけません。

また、《新紙幣発行に伴う銀行法改正について》と題した封書が届き、《キャッシュカード変更申込書》といった書類にカード暗証番号などを記入させてカードを一緒に返送させる手口も予想されますので、くれぐれも注意してください。

【紙幣の交換は詐欺】
このほか、「7月からの新紙幣発行に伴い、20年以上経過した古い口座は新しいセキュリティシステムに対応した新口座へ移行する必要があり、キャッシュカードも生体認証付カードへ変更しなければなりません」、「安全のため金融庁の口座へいったん移して新口座を開設した後、新紙幣が金融庁から入金されます」などと告げ、手続き名目でATMへ誘い出して詐欺口座へ現金を振り込ませる「振り込め詐欺」にも注意が必要です。

また、警察官を装って「あなたの口座がマネーロンダリングに使われている」、「所有しているお札がニセ札の可能性もあるため、捜査のためいったん預かり、返すときは安心の新紙幣で返金する」などと偽札対策を口実に紙幣の交換を求めるケースも予想されます。

<だまされないポイント>



【70歳以上の高齢者が狙われます】
新紙幣発行に伴う特殊詐欺では「預貯金詐欺」や「キャッシュカード詐欺盗」といった不安煽り型の手口を応用したスキームが予想され、こうした手口の被害者は97~98%が70歳以上の高齢者が占めており、うち女性は9割前後ですので高齢女性はとくに注意する必要があります。
※「令和5年度(1月~12月)警察庁_特殊詐欺の認知・検挙状況等について」のデータより

また、これらの手口では固定電話を入口として詐欺被害へつながるケースがほとんどですので、逆に言えば詐欺犯からの電話を受けなければ被害に遭うことはまずありません。

そのため、ナンバーディスプレイの導入や特殊詐欺対策機能のついた電話機の導入、通話録音機能アダプタといった物理的な対策を行うことで、かなりの確率で特殊詐欺を防止する事が可能と思われます。

NTTでは昨年5月より70歳以上の契約者、ならびに70歳以上の方と同居している契約者を対象に、ナンバー・ディスプレイやナンバー・リクエストの月額利用料および工事費を無料にしています。

さらにNTTが提供する「通話録音機能付端末(アダプタ)」についても初期費用や月額利用料を無料で提供中(期間・対象者に制約あり)ですので、積極的に活用してください。

なお、昨年より国際電話番号からのアポ電が増加しているため、国際電話を利用しない方は国際電話のブロックを申し込むことで、詐欺の電話を防ぐことができます。

これらのサービスはいずれも無料となっていますので、利用しない手はありません。


特殊詐欺では常に世の中のトレンドに合わせたスキームを構築し、「今のお札は使えなくなります」、「古いカードは使えません」などと不安を煽ってお金をだまし取ろうとしてきますが、慌てずに正しい知識を持った上で、落ち着いて対応するよう心掛けてください。

新着情報一覧

▲ページのトップへ