2025年9月2日
トイレ詰まりなど水のトラブルに関する修理サービスで、「水漏れ・つまり修理 〇〇〇 円 ~」などと低額な料金をウェブサイトに表示しておきながら、実際には数十万円もの高額料金が請求される被害が拡大しています。
消費者庁は7月31日付で「関東水のトラブル相談センター」及び「関西水のトラブル相談センター」と称するウェブサイトを運営する株式会社ベアーズホーム(神戸市兵庫区)に対する注意喚起を行ったほか、埼玉県は3月5日付で「水道修繕受付センター」と称するウェブサイトを運営する株式会社大和コーポレーション(東京都世田谷区)に行政処分を課しています。
これらの業者はウェブサイト上で他の事業者よりも安価な価格を提示したり、事実と異なる修理実績を表示するなどして集客し、消費者宅を訪問した作業員が工事内容や料金を明確に示さないまま作業を進め、不当に高額な修理代金を請求していました。
近年、水回りのトラブル修繕に関する類似の事案が多数確認されていますので、十分に注意する必要があります。
【水回りトラブルの悪質商法】
トイレの詰まりや、水漏れとなど水回りのトラブルは緊急性が高いため、すぐに対応してもらう必要性からインターネット検索で業者を探すケースが多いようです。
その場合、通常は検索結果ページの上部に表示された業者から連絡を取る傾向にあるため、悪質業者はリスティング広告やローカルSEOを駆使して自社のウェブサイトを上位にヒットさせ、さらに格安料金や24時間対応をうたった《おとり広告》で自社サイトへ誘導します。

訪問してきた作業員は修理費用について明確な話をしないまま、次々とポンプやドリルなどを持ち込んで大掛かりな工事を進めていき、最終的には数万~数十万円もの料金を請求する、というのが一般的な手口です。

【レスキュー商法】
切羽詰まった状況や知識不足につけ込んで高額な料金を請求する手口は《レスキュー商法》と呼ばれ、トイレ修理、水漏れ・排管等の詰まりなど水回りに関するトラブルのほか、鍵の開錠や害虫(害獣)駆除に関する事例が確認されています。
こうしたレスキューサービスに関する悪質商法は2020年頃から急増しており、近年ではバッテリー上がりやパンク対応などロードサービスに関するレスキュー商法も確認されています。
従来は《マグネット広告》や《チラシ》などが勧誘媒体として使われていましたが、近年はインターネット上のウェブサイト、及びウェブ広告の割合が増加しており、スマートフォンなどで簡単にアクセスできることも被害の増加につながっていると推測されます。
あたかも安価でレスキューサービスが受けられると思い込ませ、十分な説明もなしに作業を実施したり、このまま放置すると大変なことになる等と不安を与えて不必要な工事を請け負うのが常套手段となっており、電話で説明の無かった《出張料》や《技術料》が請求されるケースや、現場で追加工事が必要になるなどして、高額な料金を請求される被害が後を絶ちません。
中には百万円近くの見積りを提示しておいて、《本日限りなら》などと数十万円も値引きを入れて割安感を与えたり、《市の助成金が出る》などと嘘を告げて工事を請け負うといった悪質な事例もあります。
【レスキュー商法がなくならない理由】
インターネット上には低価格を売りにした、水のトラブル対応をうたったWebサイトがいくつもあり、どれも安く修理してもらえそうな印象を受けます。
しかし、そうしたサイトの中には悪質業者が一定数、紛れ込んでおり、サイト運営業者と修理業者は当然に結託しているほか、同一の業者が別の名称でいくつかWebサイトを運営しているケースもあります。
一部の事業者では、複数の《おとりサイト》を運営して集客している場合があり、異なる名称であっても連絡先は同一業者であるケースもあります。

インターネット上には「水の〇〇」や「アクア〇〇」、「ウォーター〇〇」といった様々なサイトが存在しますが、それらすべてを一つのコールセンター受付けていたり、修理業者が1社の場合、もしくは複数の提携業者に振り分けているケースもあるようです。
上述したリスティング広告やローカルSEOに加え、複数のサイトを運営することで数多くの集客が実現できるほか、仮に一つのサイトが閉鎖に追い込まれても、他のサイト経由で事業を続けていく事が可能であることが、悪質商法がなくならない理由にもなっています。
【だまされないポイント】
追加工事で高額な料金を支払った場合や、追加工事の契約書を交わしてしまった場合など、クーリング・オフ制度を用いて返金交渉を行うことも考えられますが、窓口であるWebサイトが閉鎖され連絡が取れなくなったり、修理業者が名刺や連絡先を伝えていない場合では、交渉自体が難しくなります。
被害に遭わないためのポイントとしては、修理業者が訪問してきた際に以下の点をしっかり確認する必要があります。
1)電話で見積価格を聞く
悪質業者のコールセンターでは見積価格の話をせず、すぐに作業員の訪問を手配する事が多く、一見、素早い対応で頼もしく感じますが、大事なのは価格を確認することです。
必ず電話口で「費用はいくらになりますか」と確認し、およその見積価格を確認してください。
もし「見てみないとわからない」、「作業員が見積りします」などと返答する場合は、依頼しない方が賢明です。
なお、クレジットカードでの支払いが可能かどうかの確認も大切です。
悪質業者の中には、証拠を残さないよう支払は現金のみケースもあるため、現金払いしか対応できない業者は避けた方が無難です。
➡ 見積額を言わない業者には依頼しない
➡ 現金払いのみの業者は注意
2)作業前に見積書を作成してもらう
電話口で見積額を確認していたとしても、作業に入る前に見積書を作成してもらう必要があります。
作業が始まってしまうと、途中でやめてもらうことが難しくなりますので、必ず作業前に見積書を作成してもらい、大まかな費用を文書で受け取ってください。
また、見積内容が「作業一式」などとなっている場合、何のお金が請求されているのか不明なまま高額な料金を払うことになりかねません。
「部品単価」や「工賃(技術料)」、その他にも「出張料」など細かな点もよく確認することが大切です。
中には口頭で見積額を伝える業者もいると思いますが、しっかり文書を出してもらえない場合は、作業を依頼してはいけません。
➡ 見積書を作成しない業者は信頼できません
➡ 「一式」などと詳細を書かない業者はダメ
3)住所、会社名を確認する
ウェブサイトには低価格や安心サービスといった良い言葉ばかりが並んでいますが、運営事業者の社名や住所、電話番号がしっかり掲載されているか確認してください。
こうした情報が載っていない場合は、連絡しない方が無難です。
また、訪問してきた修理業者についても、まず名刺を確認し、見積書に社名や住所、電話番号が記載されているか必ず確認してください。
➡ 名刺を出さない場合や、見積書が不完全な場合はそれらがハッキリしないと不安だと伝えた上で作業をお断りしてください。
4)追加工事、大掛かりな修理は断る
作業をしながら「パッキンだけでなく配管も問題がある」、「便器を取り外さないといけない」、「便器が老朽化してて交換の必要がある」、「水漏れがあるようだ」、「原状回復工事も費用がかかる」などと追加工事が必要なことを言ってきた場合、鵜呑みにしてお願いするのでなく、いったん考えますと断るようにしてください。
➡ 大掛かりな工事の場合、他の業者にも相見積もりをお願いして価格を比較する
➡ 強引に工事を迫ったり、なかなか帰ろうとしない場合は警察を呼んでください
5)領収書をもらう
無事、作業が終わった後に料金を支払った際には、領収書を受け取ってください。
すでに見積書や名刺などで相手の素性を確認していたとしても、領収書がなければ金額をいくら支払ったかの証明ができません。
もしも「後日、送付する」などと言う場合でも、必ずその場で領収書を書いてもらうようにしてください。
➡ 領収書は必ずもらう。紙が無ければ見積書に領収金額とサインを記入してもらう。
【注意すべきポイント】
1)遠方にある業者は注意
レスキュー商法など悪質業者の場合、事業所が隣県など遠方にあるケースが散見されます。
県をまたいで営業している業者がすべて怪しいとは言えませんが、遠方であれば出張費用もかさむなどコスト上昇の原因になるほか、何かあった際の対応が難しくなる恐れがあります。
2)コールセンターと修理業者が別
コールセンターの所在地が不明な場合や、修理は提携業者に任せている、といったケースでは、おとりサイトで複数の事業者と提携している可能性が高く、窓口で話した内容と、訪問してきた修理業者の話が異なる恐れもあります。
3)遅い時間を指定する業者は注意
午前中やお昼時などに業者を呼んだ場合、納得がいかなければ他の業者を検討する余裕もあるかもしれませんが、夜の遅い時間や深夜帯では他の業者を呼ぶことが難しくなります。
そのため、わざと夜遅くに訪問時間を指定してくる業者もあるため注意が必要です。
4)悪質業者に注意!の記載が優良業者とは限らない
Webサイトには「悪質業者にご注意ください!」などと自分たちは優良業者ですよと言わんばかりの表示をしているケースが散見されますが、だまされてはいけません。
過去に行政処分を受けた業者のケースでも、
「悪徳工事業者にご注意ください!!関東の水道業者の中には、修繕を依頼したお客様に対し、依頼した以外の作業を行い、わけの分からない高額な請求をする業者がございます」
「私たちは業界の健全化を目指し、そういった悪徳水道業者の排除に努めて参ります」
などと記載していた事例があります。
どの口が、といった感じです。
5)検索上位サイトが優良サイトとは限らない
トイレのつまりなど、困って業者を探す際には、多くの方がインターネットで検索して業者を探すと思われますが、その検索ワード「トイレつまり」や「水漏れ」などで上位に表示されるサイトが、悪質業者のケースもあるため注意が必要です。
これは悪質業者が専門業者に依頼してリスティング広告やローカルSEOといった対策を行い、検索上位に自社サービスが表示されるようにしているためで、相当のお金をつぎ込んでも高額請求で儲かるため積極的に利用しているようです。
6)マグネットチラシも注意
郵便ポストに頻繁に投函されているマグネットチラシは、冷蔵庫などに貼っておけば、いざという時にすぐ電話できるので安心です。
しかし、マグネットチラシの業者の中にも悪質業者は紛れ込んでいるため、事前に素性を確認しておくことが大切です。
【水道局指定工事店を検索しましょう】
ウェブサイトで水道工事業者を検索するのであれば、市役所のホームページなどに掲載されている「水道局指定工事店※」を探して依頼することで、悪質業者にだまされるリスクは低くなります。
※ 正式名称:「指定給水装置工事事業者(上水道)」
「指定排水装置工事事業者(下水道)」
この「水道局指定工事店」は各自治体によって担当地域の水道工事が許可されており、適正な水道工事が行える業者で、市区町村が事業者名を公表しています。
「水道局指定工事店」のリストの中から、ご自宅に近い業者や馴染みの業者があれば、そこに依頼することをお薦めします。
インターネット上で低価格を売りにしているすべての業者が悪質だとは限りませんが、後々のトラブルリスクを考えると、地元の安心できる業者を探してお願いするのが賢明です。