『言語交換アプリ』悪用のロマンス詐欺に注意

2024年11月28日

異なる言語を話すネイティブ同士の言語学習を目的としたコミュニケーションアプリの利用者に、ロマンス詐欺の被害が拡がっています。


Hello Talkに代表される言語交換アプリは、勉強したい言語でメッセージ交換が気軽に楽しめ、家にいながらでもネイティブスピーカーと交流できるため、語学学習に最適なツールといえます。

しかし、こうした言語交換アプリがロマンス詐欺の入り口になっているケースもあり、実際に被害も発生しています。

山形県警が25日に公表した被害事例では、天童市在住の30代女性が、ヘンリーという英国人を名乗る男と言語交換アプリで知り合い、LINEでのやり取りへ誘導された後、ヘンリーから税関の罰金の肩代わりを依頼され、2回にわたり計約86万円を振込んでしまいました。

言語交換アプリにはHello TalkのほかTandemやMAUM、HiNative、MyLanguageExchange、Speakyなど数多く存在しますが、いずれも詐欺師が紛れ込んでいる比率が高く、利用には十分に注意する必要があります。

【LINEへ誘導されたら断る】
SNS型特殊詐欺の特徴の一つに、LINEなどのコミュニケーションアプリへの移行があります。

言語交換アプリやマッチングアプリで知り合った場合、そのアプリ内でチャットを続けるのが通常ですが、アプリ運営会社によってはチャット内容を24時間監視しており、規約違反や不適切な内容をチェックしているため、詐欺犯はすぐにLINEなど別のアプリへ誘導してきます。

とくに言語交換アプリ利用時に相手の詐欺師が外国人の場合、LINEのほかWhatsappやFacebook Messenger、WeChatといったメッセージアプリへ誘導したり、TelegramやSignalといった秘匿性の高いアプリでのコミュニケーションを求められることもあります。

また、詐欺犯は自分との会話に集中させるため、元のアプリのアカウント登録を削除するよう求めてくることもあるため、このような要求を受けたら要注意です。

【ロマンス詐欺の手口】
オレオレ詐欺などの特殊詐欺が数時間から数日のうちに犯行を終えるのに対し、ロマンス詐欺では知り合ってから数週間以上、場合によっては数か月もの間、だまされ続けてしまうことがあります。

そのため、複数回にわたってお金を支払うことになり、被害額が数百万円から数千万円にまで膨れ上がることも珍しくありません。

いったん、相手に好意を抱いてしまうと、多少の不審な点があっても相手を信じたいという確証バイアスに陥ってしまい、相手を信じ抜こうという意思が芽生え、なかなか途中で被害を止めることが難しくなります。

詐欺犯はさまざまな口実でお金を要求してきますが、以下のような事例はロマンス詐欺の常套句ですので、警戒しておく必要があります。

 〇 結婚を前提に同棲する家の契約金を振り込んで欲しい
 〇 私たちの将来のためにドル貯金をしないか。
 〇 150万ドルを持参したいが、税関に支払う手数料を事前に払ってほしい。
 〇 戦争ボランティアの報奨金を預かってほしいが、空港の受け取りに200万円必要になる。
 〇 会いに行きたいが渡航費用がないので立て替えて欲しい。
 〇 あなたと結婚するため除隊したいが、軍を抜ける費用を負担してほしい。

また、二人の将来のために一緒に資産を増やそうと、投資名目でお金を要求する手口も増えています。

 〇 二人で暮らす資金を得るため、一緒に投資してもらえませんか。 
 〇 私が買っているNPC(暗号資産)は必ず値上がりするので一緒にやろう。
 〇 金の投資で人生が一変した。一緒に金の投資をしましょう。
 〇 私は投資のスペシャリスト。私の言うとおりにすれば損はしないよ。
 〇 ビットコインの売買で大きく儲けられるので一緒にやろう。
 〇 君にも投資を教えてあげようか。一緒にやれば資産形成に役立つよ。

この他にも、《ネットショップの経営を一緒にやろう》と起業資金を要求したり、架空の副業サイトへ登録させてお金を振り込ませる手口もありますが、いずれの場合も、会ったことのない相手の言う通りにお金を振込んではいけません。

【個人情報は載せない】
言語交換アプリの多くは、出会いを目的としたメッセージや個人情報の要求が禁止されており、マッチングアプリとは差別化されています。

しかし、実際には出会い目的の利用者が多く、場合によっては交流した人すべてが交際目的だったというケースもあります。

インターネット上には《安心できる言語交換アプリ》などと、安全性をうたったアプリのサイトや記事が散見されますが、有名な大手アプリでも詐欺被害は発生しています。

言語交換アプリでは本名を掲載する義務はありませんので、プロフィール欄にはニックネームを登録し、顔写真も掲載せず好みの画像を使うなど、個人情報の漏洩には気を付ける必要があります。

また、プライバシー設定も居住地や位置情報は非公開に設定し、自分を検索できる相手を同じ性別のみにしたり、近くの人が自分を探せない設定にするなど、無用なトラブルに巻き込まれないよう対策しておくことも大切です。


【SNSでお金の話が出たら即アウト!】
SNSで知り合った相手から、お金に関する話が出た時点で詐欺を疑うべきで、そもそもSNS上の人物が本当に実在するのか何の保証もありません。

仮に実在する人物であったとしても、お金の話が出た時点で相手とのコミュニケーションは控えるべきでしょう。

SNSのアカウント情報だけで、本当にそういう人物がいるのか、容姿や経歴は本物なのか、実際のところは何もわからない、ということを肝に銘じた上で、上手にSNSを利用するのが大切です。

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