「海外支援のため~不要なお皿買取ります」に注意

2024年10月25日

市役所職員をかたり、海外の難民支援などと称して、お皿などの不要品の買取りを勧誘する不審な電話に注意してください。

群馬県桐生市内では今月、「桐生市役所の海外支援担当の者です。海外支援のためにお家にある古いお皿などを買い取らせてください。」といった嘘の電話が確認されているほか、広島県竹原市でも「ご自宅に不用品はありませんか。」などと電話して訪問し、強引に貴金属を買い取っていく被害が連続発生しています。

これらの業者は、市や区役所の職員をかたったり、実在しないNPO法人をかたるなどして、「海外の恵まれない子供たちのための物資を集めています。食器や衣類など用意できますか」などと言葉巧みに訪問の約束を取り付け、実際には《ほかにネックレスなど貴金属はありますか》《不要な指輪やアクセサリーはないか》などと貴金属類を物色し、強引に安値で買い取るなどしています。

こうした訪問購入型トラブルは「押買い商法」と呼ばれるもので、貴金属類を安く買い叩くだけでなく、隙を見て現金や貴重品を盗み取る等の被害も発生しているため、不用意に買取り業者を家に上げないよう注意が必要です。

《被害事例》
 〇 「不要な皿がないか。皿1枚だけでもいいので」と言うので業者の訪問を承諾した。
 ➡ 皿の他、ネックレスなど鑑定してあげる、と言うので指輪などの貴金属を見せた。
  「これは汚れがあり小さくて高く売れない。うちなら高額で買い取る。」と言われた。
   売るとは言っていないのに、指輪などを勝手に袋に入れ、書類に金額を記入した。
   その書類に名前の記入を強要され、そのまま格安で買い取られてしまった。
   後で契約を解除したいと申し出ると、クーリング・オフもできないと言われた。

 〇「衣類などを買い取るので見せて欲しい」と電話を受け、了承した。
 ➡ 業者が勝手に玄関に上がり込み、威圧的な態度で貴金属を出すよう言われた。

 〇 「使わないお皿を難民キャンプへ寄付する」と勧誘を受け、食器を見てもらった。
 ➡ 業者が帰った後に指輪が紛失していた。

 〇 「何でも買い取る」という業者が訪問してきたので、家に上げた。
 ➡ 「金などの貴金属は絶対高く買い取れる!」と居据わり続けた。

 〇 「金が高騰しているので見るだけみせてほしい」というので見てもらった。
 ➡ 「一度持ち帰って査定する」というので預けたら、安値で転売されていた。


【突然の電話や訪問は断る】
役所をかたり海外支援を口実にするケースのほか、今年1月の能登半島地震後には、「能登半島地震で衣類や食器が不足している。古いもので構わないので不要な衣類や食器があったら被災地支援のため譲ってもらえないか」などと訪問勧誘するう事例が発生しています。

こうした業者を一度招き入れてしまうと、「ノルマを達成できないと困る」「協力してほしい」等と言って買い取るまで帰ろうとしなかったり、「この指輪は傷も目立つし市場価値も下がっているので売るのは難しい。だけど特別に値段つけて買ってあげるよ」などと根拠の無いウソを告げ、断ろうとしても「これ持っていてもしょうがないでしょ!」と強く言われるなど、半ば恫喝されるような目に遭う事もあります。

また、こうしたトラブルの被害は60歳以上の方で8割近くに及び、とくに高齢者は十分に注意し、けして一人で対応しないようにして下さい。

【窃盗や強盗に発展するケースも】
単に貴金属を買い叩くのではなく、はじめから窃盗目的で不要品の買取りを持ちかけて来る事例もあります。

都内では昨年、不要品買取り業者を装って高齢者宅を訪問した犯人が、「最近はタンスなど高く買い取りしている。写真など撮ってきて。」などと指示して家人が写真を撮影している間に貴金属類を盗む事案が発生しています。

他にも、1都3県で同様の犯行を繰り返していた業者が摘発されるなど、不要品買取り業者を家に上げる事はリスクが高いと認識すべきでしょう。

さらに近年、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)による強盗や特殊詐欺のターゲット選定の過程で、こうした不要品買取り業者からの情報が利用されている疑いもあり、安易に家の中の状況(独り暮らし・家財の場所・資産状況)を知られてしまうと、強盗被害に発展するケースもあるため、軽く考えてはいけません。

【クーリング・オフ制度の対象】
通常、クーリング・オフというと商品やサービスの購入、利用契約に関する契約解除や取引無効の手続きと思われがちですが、押買いのような買取りも売買取引ですので、特定商取引法の対象となりクーリング・オフ制度が適用されます。

特定商取引法ではアポなしで訪問買取する事は禁じられており、必ずアポイントメントを取って訪問する必要があるため、悪質業者は「無料査定」「不要品はなんでもOK」などと気軽に利用できる点をアピールして自宅への訪問約束を取り付けます。

しかし、《お皿》や《古着》の買取りと言っていたのに、話が《貴金属》に変わるなどした場合は、これも特商法で禁じられており(不招請勧誘)、しつこく居据わって勧誘する行為(再勧誘)などと合わせて違法行為となるため、そもそも契約自体が成立しませんので、堂々と買取り品の返品を要求できます。

また、一部例外(有価証券、家電製品、家具、等)はあるものの、貴金属類などの買取りについてはクーリング・オフ制度の適用が認められていますので、契約日から8日間以内に契約の無効を申し立てる事が可能です。

ただし、業者から「すでに転売してしまった」、「紛失してしまった」と言われたり、そもそも連絡先がわからない、買取書類に記載の社名や住所がデタラメだった、といったケースでは被害の回復が難しくなります。

被害を防ぐには訪問購入業者を家に上げないこと、また一人では対応しないことが大切です。



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