2024年10月1日
害虫駆除や水のトラブル、鍵開けサービスなど、家庭の困りごとに対し、ウェブサイト上で《格安&24時間対応》などとうたっておきながら、実際には高額な料金を請求する悪質業者による被害が全国で続いています。
消費者庁は9月30日、害虫駆除業を営む株式会社ORBITAL PERIOD(オービタル・ピリオド)について、作業員の作業内容に照らして過大といえる高額な料金を請求するなど、虚偽・誇大な広告・表示が確認されたとして注意喚起しました。
当該企業はウェブサイト《害虫110番(現在は閉鎖)》上で、
●「出張見積り 0円」
● 「関東エリア 最安レベルに挑戦! 追加料金一切なし! 税込550円~」
● 「こんな害虫でお困りですか? 突然出てくるゴキブリ 550円~」
● 「シンプル料金&明朗会計」
● 「出張費0円 お見積り0円 深夜料金0円 休日料金0円+駆除作業の面積に応じた料金
関東エリア最安に挑戦!550円~」
などと表示して格安である印象を与えて消費者を勧誘し、具体的な料金を説明することなく消費者宅を訪れ、点検と称して浴室等を確認した後、「ゴキブリの卵があった」などと不安を煽った上で、「ゴキブリ駆除には十数万円から二十数万円かかる」などと説明していたことが確認されています。
高額な費用に躊躇する消費者に対しては、「卵があるから数日には赤ちゃんが生まれる。卵からフェロモンが出ている」、「この部屋は、ゴキブリが出入りできるすき間ばかりある。しっかり経路を絶たないとまたゴキブリが出てくる。ゴキブリに悩まされたくないのであれば、今すぐここを引っ越すか侵入経路を絶つしかない」などと駆除作業の必要性を訴え、契約を締結していました。
しかし、実際の作業は10分から15分程度のもので、浴室の通気口や室内、屋外等に薬剤を散布するだけで、数万円から十数万円もの金額を請求していました。
手元に現金がない消費者には、コンビニ等の ATM でお金を下ろすように指示していた事も判明しており、事前に説明の無かった作業費まで請求されるなど、その手口は非常に悪質といえます。
【トラブル商法・点検商法の注意点】
このような家庭のトラブルに乗じて高額な料金を請求する悪質な手口は「トラブル商法」と呼ばれており、主にトイレの詰まりといった水のトラブルや、鍵開けサービス、害虫駆除など緊急度や重要度の高いトラブルに関する事例が多くみられます。
また、このようなトラブルについて、無料点検を装って家に入り込み、ただちに修理が必要な状況である、などと不安を煽って高額な作業契約を結ばせる「点検商法」と呼ばれる手口も増加しています。
いずれも消費者宅へやってきた作業員が、このままでは大変なことになる、などと不安を煽って追加の作業を行うなど、消費者が最初に抱いたイメージをはかけ離れた高額な費用を請求する点で共通しています。
こうした悪質業者の餌食にならないよう、以下のポイントに注意する必要があります。
1)電話口で見積価格を確認する
悪質業者のコールセンターでは、見積料金の話をせず、すぐに作業員の訪問を手配する事が多く、一見、素早い対応で頼もしく感じますが、大事なのは価格を確認することです。
必ず電話口で「費用はいくらになりますか」と確認し、およその見積価格を確認してください。もし「見てみないとわからない」、「作業員が見積します」などと返答する場合は、依頼しない方が賢明です。➡ 見積額を言わない業者には依頼しない
2)作業前に見積りをしてもらう
電話口で見積額を確認していたとしても、作業に入る前に見積書を作成してもらう必要があります。
作業が始まってしまうと、途中でやめてもらうことが難しくなりますので、必ず作業前に見積書を作成してもらい、大まかな費用を文書で受け取ってください。
中には口頭で見積額を伝える業者もいると思いますが、しっかり文書を出してもらう事が大切です。
➡ 見積書を作成しない業者は帰ってもらう。
3)住所、会社名を確認する
Webサイトには低価格や安心サービスといった良い言葉ばかりが並んでいますが、運営事業者の社名や住所、電話番号がしっかり掲載されているか確認してください。
こうした情報が載っていない場合は、連絡しない方が無難です。
また、訪問してきた修理業者についても、まず名刺を確認し、見積書に社名や住所、電話番号が記載されているか必ず確認してください。
➡ 名刺を出さない、見積書が不完全な場合は、作業をお断りする。
4)追加工事、大掛かりな修理は断る
作業をしながら「他にも大きな問題が見つかった」、「交換や取外しが必要」などと追加工事の必要性を告げてきた場合、鵜呑みにせず、いったん考えますと断るようにしてください。
➡ 大掛かりな工事の場合、他の業者にも相見積もりをお願いして価格を比較する
【インターネット検索上位サイトは注意!?】
検索すると、まっさきに出てくる検索上位サイトが優良サイトとは限りません。
悪質業者は専門業者に依頼して検索上位に自社サービスが表示されるようSEO対策を行うことが多く、数百万円の広告費をつぎ込むことも珍しくありません。
それだけのお金をつぎ込んでも、法外な高額請求によって元はすぐに取れるということです。
また、「悪質業者にご注意ください!」などと自社サイトでうたい、さも自分たちは優良業者ですよ、と言わんばかりの表示をしている業者がありますが、これも当てにはなりません。
実際に、行政処分を受けた悪質業者のサイトにおいて、「悪徳工事業者にご注意ください!!関東の業者の中には、修繕を依頼したお客様に対し、依頼した以外の作業を行い、わけの分からない高額な請求をする業者がございます」、「私たちは業界の健全化を目指し、そういった悪徳業者の排除に努めて参ります」などと記載されてた事例もあります。
他にも、訪問できる時刻について、夜の遅い時間を指定してくる業者も要注意で、これは午前中やお昼に業者を呼んだ場合、見積金額に納得がいかなければ他の業者を検討する余地もありますが、夜の遅い時間や深夜帯では他の業者を呼ぶことが難しくなります。
そのため、わざと夜遅くに訪問時間を指定してくる業者もあるため注意が必要です。
最近はマグネットチラシが投函されている事も多いですが、マグネットチラシの業者の中にも悪質業者は紛れ込んでいるため、安易に信用せず、必ず事前に料金の見積りを取り、作業前に工事内容等が明確な見積書を発行してもらうなど、私たち消費者もしっかりと対応することが大切です。
【偽ブログや検証サイトに注意】
悪質商法や投資・副業詐欺において、それらの行為により被害者が増えてくると、当然のことながら悪評がネット上の口コミなどで広まります。
そうした批判をかわす目的や、依頼するか迷っている消費者を信用させる手段として、悪質業者が架空のブロガーによる記事や、架空の検証サイトを立ち上げ、その中で悪質業者のサービスを養護する内容を掲載し、最終的には《このサービスは問題なさそう》という印象を与えるケースが多く見られます。
今回のORBITAL PERIODについても、「害虫駆除職人兼ライター武田」と称するブログにおいて、当該サービスに関する複数の記事を掲載している事が確認されており、当該サービスの料金などは適正であり、悪い口コミについては根拠がない等、全体的に養護しながら推奨する内容の記事が掲載されています。
しかし、当該ブロガーについては《害虫駆除職人》と自称しているわりに、その業態に関する情報は一切確認できず、問合せ先も見当たりません。
このほかにも、《〇〇は怪しい!? 検証してみた》といった見出しで、各種サービスに関する内容を紹介しながら、最終的にはお勧めする系統のブログやサイトが散見されますが、これらの多くは自作自演の偽物ですので、惑わされないよう注意が必要です。