2024年8月22日
ローソンチケットの偽サイトにおいて、指定されたチケットを40回予約すると、各予約金額の1%~5%の利益がもらえる、とウソを言って予約に必要な金額を振り込ませる副業型振り込め詐欺の被害が発生しています。
詐欺犯はFacebookやLINEなどのSNS上で、ローソンチケットの運営会社である株式会社ローソンエンタテインメントや、架空のローソンチケット株式会社の契約社員を名乗り、「ローソンチケットの宣伝プラットフォームでアカウントを登録後、チケット予約をクリックするだけで手数料収入が得られる」などと勧誘しています。
この《チケットプロモーション活動》を行うことで、毎月、少なくとも30万円、多い時は60万円の利益が生まれ、高額チケットが配分されたときは通常の5倍の利益が生まれる、といった説明をして、簡単に高収入が得られると告げてくるのです。
しかし、チケット予約を行うには事前に予約に必要な金額をチャージしておく必要があるほか、登録後24時間以内に合計40件のクリックを行わなければならず、クリック数が40回に満たないうちにチャージ残高が不足した場合はタイムリーにチャージする必要が生じる、といった規則が設定されています。
割り当てられたチケットが5万円に設定されていた場合、2回クリックしただけでチャージ金額のうち10万円が消えてしまい、40回クリアするには200万円が必要と言う計算になります。
予約を完了させるためには、追加でチャージし続けなくてはならず、数十万円~100万円単位のお金を入金させられる仕組みになっています。
このチャージが完了できなかった場合、報酬を得る事ができないばかりか、《未完了の注文が検出された》、《延長手続きが行われていない》などと入金の催促が続いた後、最後には30%の違約金を請求されることになります。
【手口の特徴】
この手口では、初回の収益金を元金とともに被害者の銀行口座へ実際に振り込むことで、被害者を信じ込ませています。
これは投資詐欺でも使われる手法で、数千円から1万円程度の利益分と元金を即座に支払う事で、「こんなに簡単に儲かるんだ!」、「これはおいしい話だ!」と思い込ませ、その後の資金投入の心理的ハードルを下げる効果があります。
また、チケットはランダムに割り当てられる、という設定のもと、《あなたは幸運です!高級チケットに遭遇しました!》、などと予約が難しいプレミアムチケットが配分されたため、稼げるお金も増える、などと告げてチャージ金額を引き上げていきます。
実際のケースでは、14万円をチャージしたところ予約を5回した段階で残高不足になり、要求された8万円を追加チャージすると、すぐに17万円の残高不足と表示され、その17万円をチャージしても、たった3回で残高不足になって25万円が要求され、いつまでたっても40回の予約完了に到達せず、ひたすらお金の入金を求められる結果となっています。
途中で辞めてチャージ残高を引き出そうとしても、違約金を数十万円請求され、違約金を振り込めば返金すると通知してきますが、振り込んだお金が戻ることはありません。
詐欺犯は最後の最後に《違約金》名目でお金をだまし取ろうと考えているのです。
【チャージ先が個人名義口座】
チケットプロモーションを行うために必要な金額のチャージ方法は銀行振込となっていますが、なぜか個人名義の銀行口座となっており、ローソンエンタテインメント社など運営企業の口座でないというのは、おかしな話です。
SNS上の投資詐欺でも頻繁に行われているのが、資金の振込先が個人名義の銀行口座というケースです。
振込詐欺で使われる銀行口座は、ネットバンクが圧倒的に多く、名義人の名前は日本人のほか外国人であったり、中には合同会社といった法人名義の場合もありますが、本来の運営会社とは似ても似つかない名前であることがほとんどです。
副業であれ投資であれ、自分のお金の振込先が得体の知れない個人や法人の名前であった場合は、絶対に振込みをしてはいけません。
【ロマンス詐欺の要素も】
ローソンチケットの運営会社の契約社員を名乗る者は、Facebookなどで友達になってくれる人を募り、「自分は離婚したばかりで彼氏もいない」などと恋愛感情に訴えながら、自分の仕事についての話へ持っていき、チケットプロモーションのしくみを説明していきます。
《作品のチケット販売を増やすことが仕事》と話しつつ、自分のアカウントだけでは稼げる金額に限度があるが、サブアカウントを自分とリンクさせることで、お互いに収益が出るので協力してもらえないか、と仲間になるよう持ちかけます。
《私の招待コードであなたも参加できる》などと二人の共同作業といった感じを醸しつつ、最初は利益の分け前を実際に振り込むことで、信頼関係を築いていきます。
しかし、チャージに必要な金額が増していき、被害者が「これ以上は・・・」と躊躇すると、「あなたが予約完了してくれないと、私たちのアカウント残高が不足しているので、私のアカウントも使えなくなって収入が得られなくなる」などと半ば脅すような感じで入金を迫ってきます。
さらに、どうしてもお金を用意するのが難しい、と泣きついたとしても、「アコムで借りてくれば大丈夫ですよ!」などと最後までお金の支払いを要求してきます。
【だまされないために】
副業詐欺では《誰でも簡単な作業で稼ぐことができる》といった切り口で勧誘することが多く、何かの仕事をするために必要だからと高額な機器を購入させたり、登録料と称してお金を振り込ませるなど、報酬の前に支出が発生する、という特徴があります。
今年6月、山形県酒田市内の20歳代女性が《楽に稼げる》などとうたう副業サイトからLINEの《公式LINEいつでもjob》というアカウントとやり取りしたところ、《250万円の副業プラン》を勧められ、相手の男から「あなたを信用するために170万円を振り込んでください。不足の80万円は会社で負担し、170万円は報酬と併せて返済します。」などと言われて170万円を振り込み、だまし取られる被害が発生しています。
どのような仕事でも、お金を稼ぐために《自分からお金を出す》といった内容の場合は、詐欺を疑い、仕事のしくみや相手の素性等を十分に調べる必要があります。
また、〇〇の仕事をするためには〇〇の資格を取得する必要がある、などと説明して資格取得講座へ入会させて長期間の受講契約を結ばせたり、高額なテキストを購入させるなど、詐欺まがいの悪質商法も存在します。
《自分への投資》や《資格は高収入への近道》などもっともらしい言葉で、初期投資のお金を出させるのが詐欺犯の狙いですので、だまされないよう注意が必要です。
また、ロマンス詐欺の多くはLINEなどのコミュニケーションツールを使い、話の中で徐々に投資や副業を勧めてきますが、実際に会ったこともない相手の場合は、本当に実在する人であるのか注意するべきでしょう。
詐欺に使われる架空のSNSアカウントは無数に作られており、FacebookやInstagram、LINEなどのアカウントも他人の写真を無断盗用したものであったり、氏名や居住地などまったくのデタラメというケースばかりです。
恋愛や結婚を夢見てコミュニケーションを続けている相手から、《投資》や《副業》を勧められたり、《将来のための資金》、《重病の親の手術費用》、《日本への渡航料》などの名目でお金を無心された場合は、一度立ち止まって周囲の人に相談するなど、冷静に判断するよう心掛けてください。