2024年7月31日
詐欺被害における40歳代から60歳代の被害者が急増しています。
警察庁刑事局が30日に公開した「犯罪統計資料(第658号)_令和6年1月~6月分」によると、これまで詐欺被害者の4割前後を占めていた70歳~80歳以上の被害者の割合が3割以下に減少しているのに対し、40歳代から60歳代の被害者の割合が約5割にまで増加しています※。
※資料中の認知件数より算出、および《法人・団体、被害者なし》はカウントせず。
今年に入ってから、とくに40歳代から60歳代前半の現役世代における詐欺被害者数の増加が顕著で、1月から6月の前年同期比では60歳代前半の増加率が70.9%であるのを筆頭に、50歳代で68.5%、40歳代で48.8%と、約1.5倍から1.7倍にまで増えています。
認知件数では50歳代が3,761件で最も多く(昨年同期2,232件)、次いで40歳代が3,105件(同2,086件)と続いており、その他の現役世代(20歳代、30歳代、60歳代)においても軒並み2千件以上に増加しています。
これに対し、70歳代では増加率が15.3%、80歳以上ではマイナス12.6%となっており、現役世代など下の年代に比べると、増加率の面では低くなっています。
ただし、70歳代における被害者数が増加している事に変わりはなく、件数も3,242件と50歳代に次いで多く、また80歳以上の世代でも被害者数は2,765件となっており、高齢者の被害は依然、高止まりの様相を呈しているのが実状です。
【詐欺被害は増加傾向】
全年齢における詐欺被害の認知総数(法人・団体、被害者なしを除く)は今年1月から6月の上半期で22,614件で、すでに昨年(2023年)36,755件の6割を超えているため、このペースが続けば昨年の120%を超える4万5千件以上に達する恐れもあります。
2016年に詐欺被害の認知総数(法人・団体、被害者なしを除く)が30,046件、2017年に32,828件と推移した後、2018年以降は29,346件(2018)、23,874件(2019)、22,113件(2020)、22,218件(2021)と減少傾向にあったものの、2022年には28,302件と増加に転じ、2023年には36,755件と過去最高(2016年以降)を記録しました。
とくに一昨年以降、SNSを媒体とした投資詐欺やロマンス詐欺が横行し、40歳代および50歳代が牽引する形で現役世代の被害者数が全体的に押し上げられてきました。
今年に入り、こうした傾向にさらに拍車がかかった印象です。
【SNSを入口とした詐欺に注意】
高齢者をターゲットとしたオレオレ詐欺や預貯金詐欺、還付金詐欺等の特殊詐欺に対し、現役世代を狙った詐欺の手口では、投資詐欺の割合も大きくなっており、これにロマンス詐欺の要素を組み合わせたパターンが拡がっているため注意が必要です。
とくにSNSやマッチングアプリ等の出会い系サイトで知り合った相手から投資勧誘されるケースが目立っており、相手が外国人を装って片言の日本語でアプローチしてくるのも常套手段となっています。
【外国通貨取引の専用アプリはインチキ】
これらの投資詐欺では、外国通貨を対象としたFXなどで儲かると持ち掛け、専用アプリをインストールさせてお金をだまし取る手口がポピュラーとなっています。
この専用アプリは、詐欺犯が自作した偽のマーケット情報や口座残高を表示するもので、預けたお金が数倍に増えるなど大きな利益が出ている様に見せかけていますが、実際は架空の取引であってデタラメな内容です。
被害者はアプリ上では大儲けしていると錯覚し、より多くの利益を得るため多額の資金を追加してしまうため、被害が高額化する傾向にあります。
【架空請求詐欺にも注意】
NTTファイナンスやドコモインフォメーションセンターをかたり、「サイトの利用料が未納になっている」、「法的手続きへ移行する」といった内容の自動音声電話がかかり、「心当たりのない方は1番を押してください」などのガイダンスに従ってダイヤルを操作させ、オペレーターと称する詐欺犯によってプリペイド式電子マネーを購入させられるケースも被害が減りません。
また、パソコンでインターネットを閲覧中、突然警報音が鳴り出し、画面上に《WindowsDefender-セキュリティ警告》などの警告画面が表示され、画面をクリックしたり、画面を閉じようとした途端に全画面表示に切り替わって警告音が鳴り続け、表示されているサポートセンターの番号に電話させる手口にも注意してください。
これはサポート詐欺と呼ばれるもので、自動音声ガイダンスの手口と同様、オペレータを名乗る者がコンビニエンスストアで電子マネーカードを購入するよう指示を出し、カード番号を聞き出して盗み出す手口です。
こうした手口による被害は一向に減ることがなく、連日のように被害が発生しています。
当法人のサイトでも各手口に関する注意喚起を行っていますが、報道されている事件なども参考に、現在発生している詐欺の手口を知り、他人事ではなく自分の身にも起こり得ることと認識しておくことが大切です。