2024年7月26日
国際電話番号を表す「+(プラス)」から始まる番号による特殊詐欺の電話が後を絶ちません。
福岡県北九州市では25日午後8時半頃、小倉南区内の女性宛に「+」から始まる国際電話番号から着信があり、NTTファイナンスから委託を受けた会社の職員を名乗る者から「一年分の未納料金があり、払わなければ裁判になる」などと言われる不審電話が確認されました。
群馬県でも25日午前9時半頃、沼田警察署管内において「+」から始まる番号から警察官をかたる者から、「情報漏洩を防ぐため、第三者がいない環境を作ってほしい」、「逮捕した容疑者から大量の銀行カードや通帳を押収したが、その中にあなた名義のキャッシュカードがあった」、「ご協力いただけなければ、逮捕状を出します」といった不審電話がかかっています。
また、大阪府松原市内では19日から21日にかけて「+」から始まる電話番号からの着信で、「あなたの暗号資産口座が凍結されています」「あなた自身で凍結を解除する必要があります」「手続きをするためにアプリをインストールして下さい」などの不審電話が相次いでいます。
【増え続ける国際電話番号によるアポ電】
特殊詐欺等の犯罪に使われる電話については、警察や総務省の取締りや規制の効果もあり、いわゆる飛ばし携帯が減少傾向にある中、近年主流になっていた050アプリ電話についても、今年4月から役務提供契約締結時の本人確認が義務化されたため、足のつかない電話番号の入手は困難になりつつあります。
そうした中、詐欺グループが目をつけたのが国際電話番号で、昨年6月以降、国際電話番号による特殊詐欺のアポ電は爆発的に増加しており、昨年末時点で詐欺電話全体の約65%を占めています※。
※警察庁公表資料「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」より
特殊詐欺犯が実際に海外から電話をかけるケースもありますが、海外の電話番号が無料で取得できる電話アプリが悪用されるなど、比較的容易に国際電話番号が取得できることも、国際電話番号によるアポ電増加の要因と考えられます。
こうしたアプリを使えば、海外のSIMカードがなくても外国の電話として通話が可能で、詐欺グループは日本国内で通信回線契約するリスクを負うことなく、詐欺の電話をかけることができるため、今後も国際電話番号を使用した詐欺の電話はなくならないでしょう。
【国際電話番号は頭に+がつく】
国際電話をかける場合、番号の頭に国番号をつけて発信しますが、国際電話がかかってくる場合にも、番号の頭に《+国番号》がついた電話番号が表示されます。
そのため、お使いの固定電話や携帯電話に着信があった際、番号表示の頭に「+」が表示されていた場合、国際電話番号を使った詐欺電話の可能性が非常に高いため、無視して電話に出ないことが大切です。
【国際電話ブロックサービスの利用】
国際電話を日常的に利用しないのであれば、国際電話の着信をブロックするのが詐欺防止において有効な対策となります。
海外とのコミュニケーションは現在、Google MeetやZoom、Skype、LINEなどのアプリを利用すれば簡単にできるため、わざわざ国際電話を利用することも(海外ビジネス以外には)ないと思われますので、この機会に国際電話の利用を休止しておくことを強く推奨します。
固定電話についてはNTTコミュニケーションズ(東日本・西日本)、KDDI、ソフトバンクの各社が共同運用する窓口として「国際電話不取扱受付センター」が用意されており、利用休止手続きが無料で行えます。
※利用休止手続き後は海外からの着信のみならず発信もできなくなります。(コレクトコールも受けられません)
〔国際電話不取扱受付センター〕
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1丁目20番1号 オリックス不動産西新宿ビル
電話番号 0120-210-364(通話料無料)
取扱時間 オペレータ案内:平日午前9時から午後5時まで
自動音声案内:平日、土日祝24時間(Web申込は24時間可能)
利用休止手続き方法には①Web申込と②書面申込の2つの方法があります。
①Web申込の場合
受付センターへ電話(0120-210-364)し、ガイダンスに従い「1」をプッシュするとパスワードがアナウンスされます。
次にWebサイト「国際電話不取扱受付センター(ログイン画面)」で、アナウンスされたパスワードを入力してログインし、契約者情報(契約者名、住所、連絡先電話番号、等)を入力して手続きは完了です。
②書面申込の場合
受付センターへ電話(0120-210-364)し、ガイダンスに従い「2」をプッシュするとオペレーターにつながりますので、書面の送り先を伝えます。
後日、郵送された申込書に記入の上、返送して手続きは完了です。
①、②いずれの場合も申し込みから数日~10日間程度かかります。
なお、スマートフォンなどの携帯端末の場合は、着信拒否アプリを利用するなどして対処してください。
【積極的な防止策を】
特殊詐欺で利用される携帯端末の回線契約(SIMカード)契約においては、本人確認が厳格化されるなど、詐欺グループにとって追跡されるリスクが大きく、近年では固定電話アプリを使った「03」や「06」などの市外局番、また「050」アプリ電話からのアポ電が主流となっていましたが、これらも一定の本人確認が必要になってきたため追跡リスクは残ります。
これに対し、海外の電話アプリであれば本人確認不要で、誰でも無料で海外の電話番号が入手可能なため、詐欺犯にとってはメリットの多いツールといえます。
使い捨ての国際電話番号が取得できるアプリは複数存在しますが、いずれも着信時には国際電話を表す「+」がナンバーの先頭に表示されますので、私たちは「+」からの電話に出ないことはもちろん、上述の国際電話不取扱の手続をすることで詐欺被害のリスクを軽減できます。
詐欺防止ネットワークでも、国際電話不取扱い手続きのサポート(会員様対象)を行っていますので、積極的な防止策を講じ、被害を未然に防ぐ事が大切です。