2023年11月2日
令和5年秋の褒章が11月3日付で発令されることとなり、歌人の俵万智氏や作家の東野圭吾氏など11人が紫綬褒章に選ばれました。
このほか、紅綬褒章(5人)、緑綬褒章(10人と26団体)、黄綬褒章(235人)、藍綬褒章(423人)と合わせて計684人と26団体の方々が褒章を受章されます。
受章者の名簿は内閣府など各省庁のWebサイトで公表しており、名簿には氏名や性別、年齢、現住所(市区町村まで)、受章内容や主要経歴などが記載されています。
これとは別に詳細な受章者名簿が出回ることもあり、受章者が詐欺や悪質商法のターゲットにされる可能性もあるため、以下の手口に十分な注意が必要です。
【受章者を狙う手口】
これまで、受章者をターゲットに記念品を選ぶカタログギフトが送られてきたり、注文した覚えのない記念品が送りつけられ、高額な代金を請求されるといった事例が確認されています。
高額な記念品を購入させようとする「送りつけ商法」や、受章者の人生訓などを書籍にまとめて購入させる「褒めたたえ商法」などの手口にだまされないよう注意してください。
〔送りつけ商法〕
記念品の悪質な勧誘電話では、「気に入らなければ宅配便で返品できる」などと送ることを前提に話をする業者や、日を変えて連日のように勧誘電話を続けるなど再勧誘違反にあたるケースもありますが、しつこく勧誘されてもハッキリと断ることが大切です。
また、こちらの意思を確認しないうちに「とりあえず送ります」と記念品を送りつけてくる手口もありますが、お金を支払う必要はまったくありません。
もし、請求書と一緒に商品が届いたとしても、代金支払いの義務はなく、商品を受け取る必要はありませんので、宅配便などで届いた場合はその場で「受け取り拒否します」と伝えれば商品は発送元へ戻されます。
また、普通郵便等で投函されていた場合は、開封せずに置いておくか、処分してしまって構いません。
仮に、「申し込むと言ったから送った」などと強弁された場合でも、8日以内※にクーリング・オフ対応をすれば契約は解除できます。
※契約書類を受け取った日がクーリング・オフの起算日となる
また、商品に同封された契約書の記載事項が、特定商取引法に定められた通りでなければ支払い義務は発生しません(契約書面の記載不備)。
もし不安な場合は、最寄りの消費生活センターや消費者ホットライン「188」へ相談してください。
〔褒めたたえ商法〕
受章者を褒め称え、受章者の人生訓が掲載された書籍や機関誌を高額で販売する手口もあります。
過去の事例では、受章者に「あなたの人生訓を教えてください」といった往復ハガキが届き、人生訓をしたためて返送すると、「あなたの素晴らしい人生訓が3,000人の中から選ばれました」と業者から電話が入り、「掲載された本や新聞を購入しませんか。 2万3000円の分割払いで、総額は11万6000円になります。」などと勧誘されたケースがあります。
2019年には叙勲者や褒章受章者などをターゲットに、人生訓(格言・名言)などを記入して返送するよう求める往復はがきを送付し、返送した人へ「あなたの言葉が選ばれた」、「素晴らしい名言ありがとう」などの電話をかけ、記載内容が掲載された「日本の礎・名言集」の売買契約を勧誘していた(株)日勲が消費者庁から6ヶ月間の業務停止命令を受けています。
この手口では、返信した全員が採用(選ばれて)されていると思われ、「〇人で審査した結果、全員一致であなたの言葉が選ばれました」などというのは真っ赤なウソで、審査など一切行われていない可能性もあるため、業者の言う事を鵜呑みにしてはいけません。
立派な功績が評価されて受章したわけですから、とても誇らしいことですし、さらに自分の人生訓が評価されたとなれば嬉しいものです。
しかし、そうした記念品への費用が妥当なものであるか、それだけの価値があるのかを冷静に考える必要があります。
高額な料金を支払った裏では、ローコストで制作した記念品や冊子を提供し、ぼろ儲けしている業者がいることを忘れてはいけません。