2023年9月15日
コミュニケーションアプリ『LINE』のグループ自動追加機能を悪用し、投資購入グループに招待して投資勧誘を行う投資詐欺事案※について、《高木賢一》と称する投資の先生に直接指導してもらうLINEグループや、高木先生と組んで開催される投資セミナーへの勧誘に関する報告が相次いでいます。
※LINEを媒体とした投資詐欺の手口については、当法人記事「【LINE投資グループ】詐欺の手口と対処法」に詳述していますので参考にしてください。
《高木先生》と称する人物を擁するLINEグループでは、《横山由美》と称するサクラが初心者を演じて「このグループは何ですか?怪しくないですか?」などと問いかけ、それに他のサクラが「何でも話せる交流グループ?的な」などと答えるかたちでグループそのものの安心感を演出し、徐々に株やFXで《高木先生》の言う通りにしたらお金を稼げた、儲かった、などの会話を織り交ぜてきます。
サクラの初心者役が「え?そんなに儲かるんですか?」などとコメントする事で、この投資グループや《高木先生》から金儲けの有益な情報が得られる印象を与えています。
しばらくすると、《高木先生のアシスタント》と称する別のサクラが登場し、適当な理由を付けて別のグループへの参加を促します。
別グループで高木先生やアシスタントをLINEの友達に追加すれば、無料で投資講座が受けられたり、本命株がもらえる、などと勧誘するケースもあります。
こうした流れはLINE投資グループ詐欺の常套手段となっており、本当に興味のある(食いついてきた)メンバーを選別した上で、株式投資などの話を持ち掛けてきます。
【ZOZO前社長・前嶋氏の経歴が無断盗用されている】
投資の先生として登場する《高木賢一》なる人物については、もっともらしい経歴が紹介されていますが、すべて詐称されたものであり、そのほとんどがZOZO前社長である前澤友作氏のものとなっています。
LINE投資グループにおいては、投資関係の《先生》と称する人物が多数登場しており、経済学系の実在する大学教授や証券アナリストの名前をかたったり、米国の投資会社アナリストなど真偽の確認が困難なケースなど、冷静に考えれば信用するに値しない情報が蔓延しています。
こうした情報に接する際には、リアルな連絡先情報が掲載されているかを確認することが、詐称を見抜くポイントとなります。
《先生》と呼ばれる方々の住所や電話番号といった連絡先が明示されておらず、SNS上のみでやり取りを行うケースでは、情報の真偽を確認する術がないためリスクが高いといえます。
先日も、元棋士の投資家が自身を装った偽者によって、本人の顔写真を使って偽造された運転免許証の写真がLINE上で送信されていたと訴えていましたが、フェイク画像が蔓延する現在、写真があるからといって安易に信用できないのが実状です。
SNSやインターネットを利用するにあたり、詐欺などの犯罪に巻き込まれないためにも、表面的な情報に惑わされず、真偽の確認を習慣化すべきでしょう。
【投資詐欺の被害額は甚大】
LINE投資グループの目的は、不特定多数のLINEユーザーに対して「投資」や「すごい先生の言う通りにしてたら儲かった」といったグループトークを展開し、投資に興味を持った人を集めることです。
興味を持った人には「直接、先生から指導が受けられる」などの理由で別のトークルームへ誘導し、そこで登場する投資の「先生」と称する者が、FXや仮想通貨への投資を勧めたり、投資運用アプリへの資金投入や、銘柄指定株の購入を指示するなどしてきます。
当初は利益が出ているように見えていても、より多くの資金を投入した段階で、口座が凍結されたので保証金が必要、などと追加の資金投入を求めらケースがあるほか、株価が急激に下落して大損したり、中にはインサイダー取引による違法な資金集めの疑いがあるため、損害賠償金を支払えと脅される事例もあります。
いずれにしても、被害者はお金をとことん搾り取られたあげく、「先生」との連絡もつかなくなり、投資先のアプリ口座が消滅するなど、すべての投資資金が消えてなくなります。
散見される手口としては、「先生」と称する者が「この株はここ数日で一気に上がる」と銘柄指定で出来高の少ない株の購入を勧める仕手戦模様のケースで、集められた被害者がそろって買いに走るため株価は上がっていきますが、すでに詐欺犯はその株を大量に購入していて、株価がピークに達した段階で売り抜けるというものです。
当然、株価は暴落しますが後の祭りです。
また、専用アプリに口座を開設し、多額の手数料とともに資金を投入すると年利120%もの配当が毎月入金されるケースもありますが、これもポンジスキーム系の手口で、配当金の原資は投資したお金であり、元手を削って戻しているだけなので、実際に利益が出ている訳ではありません。
しかし、「これはすごい!」とさらなる資金投入を続けてしまうと、上述のように様々な理由で出金ができなくなるだけでなく、追加の資金投入を迫られ、結局は全額戻ってくることもないという、大変悲惨な結果が待っています。
こうした被害は表面化しにくい面がありますが、被害額は数百万円から数千万円に上っているようです。
さらに詐欺犯は海外拠点からLINE投資グループの運営や一連の詐欺行為を行っている節があり、警察に届け出ても摘発は困難で、大切なお金が戻ってくる可能性は限りなくゼロに近いといえます。
LINE投資グループでのトークは、私たちの興味関心を引くような内容かもしれませんが、絶対に関与しないよう十分に注意、警戒してください。