2023年8月14日
8月に入り、高齢者宅に息子や親族を装って「カバンをなくした」などと電話をかけ、大事な契約ができなくなり会社の損失を穴埋めしなければならない、などと現金を要求するオレオレ詐欺のアポ電が増えています。
例年、オレオレ詐欺の認知件数は8月頃より増加しはじめ、12月にピークを迎える傾向にあります。
今年も8月に入ってオレオレ詐欺のアポ電が目立つようになり、年末へ向けて被害が拡大する恐れがあるため、注意が必要です。
とくに8月、10月、12月といった偶数月は年金の支払月でもあるため、オレオレ詐欺との相性が良いためか認知件数も他の月に比べて多くなっています。
明日8月15日は6,7月分の年金支給日となりますので十分に注意してください。
【カバンをなくした系の手口】
近年のオレオレ詐欺の手口では、その約7割が「会社に損害を与えたので何とかしないとクビになる」などの損失補填名目でお金を要求しており、特徴としては「カバンをなくした」「重要な書類を紛失した」などと電話をかけてくるのが一般的です。
詐欺犯は、なくしたカバンの中に重要な書類が入っていて、契約ができないと数千万円の取引が台無しになるといったストーリーで、(偽の)息子や親族が窮地に陥っていると思わせます。
さらに電話口には上司を名乗る者が登場し、その上司もいくらか自腹で補填するが、まだ数百万円足りないので、親御さんの方で何とかならないか、などと現金を要求してきます。
この手口が特殊詐欺でよく用いられるのは、カバンの中の携帯電話(スマートフォンなど)も一緒になくしてしまった、と伝えることで本当の息子や親族に連絡させないように誘導できるからと思われます。
実際に、電話でのやり取りでは「息子さんの携帯電話も見つかっていないので、上司の私が代わりに電話している」などと言って、息子の電話番号とは異なる番号でも不審感を抱かせないような工夫がみられます。
【手口のパターンを知っておく】
オレオレ詐欺では、いきなりカバンをなくした、と本題に入るパターンだけでなく、「東京駅から電話がなかった?」「警察の遺失物係から電話なかった?」などと短い電話がかかってくることがあります。
この段階ではカバンをなくした、とはハッキリ言わずに慌てた様子で電話を切り、少ししてから「実はカバンをなくして・・・」と電話してきたと思ったら、すぐに上司を名乗る者が電話口に出て、「今、息子さんが契約書を紛失して大変なことになっていまして・・・」と強引に話を進めるなど、劇場型詐欺の要素が強いのも特徴です。
いずれにしても、オレオレ詐欺の電話のパターンを知っておくことで、「あれ?これってもしかして詐欺かな」と気づきやすくなり、被害を防ぐ可能性が高まります。
[ケース1]
(偽の息子)
「タクシー会社から連絡なかった?」
「カバンを忘れて携帯がないから、タクシー会社には実家の電話番号を教えてる」
「中に大事な契約書類が入っているので、タクシー会社から電話があったら聞いといて」
(偽のタクシー会社)
「カバンは見つかりましたけど、中身は空で書類はありませんでした」
(偽の息子)
「契約が取れないと、会社の損失を補填しないといけない」
「書類がないと困る。会社をクビになる」
「取引先に今日中にお金を払えば何とかなる。お金を貸して。」
[ケース2]
(偽の息子)
「電車内に会社の契約書類を置き忘れ、なくしてしまった」
「何か連絡入ってない? また連絡するね」
(偽の上司)
「息子さんが本日契約に必要な書類を紛失して大変なことになっています」
「会社に知られると、私も責任を取って会社を辞めざるを得ない状況です」
「私の預金から損失補填しても足りないので、なんとかなりませんか」
「私の息子にお金を取りに向かわせます」
[ケース3]
(偽の病院の医師)
「息子さんが喉の痛みを訴えて当院を受診した」
「緊急手術を行い、現在、当院にて治療中です」
「診察が終わり息子さんを自宅に送っていたところ、突然、血を吐いた」
「命に別状はなさそうですが、何か重要な要件があるようです」
(偽の息子)
「会社のお金を下ろせなくなった」
「1,200万円必要なんだけど、お金を貸してくれないか」
「誰にも言わないでほしい」
「同僚の息子にお金を取りに行かせるから」
ケース3のように病院から電話があり、実の息子が血を吐いた、などと言われれば、親御さんなら誰でもパニックに陥ります。
そのパニック状態の中で、さらに息子が窮地に陥っているとなれば、何とかしてあげたいと思うのが親心です。
しかし、こうした親心を踏みにじってお金を巻き上げるのがオレオレ詐欺の正体です。
こうした手口にだまされないよう、また加担もしないよう、十分に注意してください。