2023年5月23日
「NTT地域連絡担当の者ですが、アナログ回線に戻すサポートをしています」などとNTT関連の職員を装って回線利用料が安くなると勧誘し、サポート料金名目で高額な役務提供契約を結ぶ「アナログ戻し」の手口が横行しており注意が必要です。
消費者庁は18日、北海道札幌市に拠点を置く6社が「アナログ戻し」の手口で特定商取引法違反の訪問販売を行っていたとして3ヵ月の業務停止命令を発出しました。
この6社は「住まいるサポート24」及び「プライムサポート」と称する訪問サービスや電話相談サービスを行っており、Area.ic(エリアアイシー)社を中心にクライアンフ社、ベンチャープランニング社、コネクション社、JYC社、HearTs社が連携共同し、書面の交付義務に違反する行為(記載不備)や不実のことを告げる行為、役務の対価につき故意に事実を告げない行為、などを行ったことが確認されています。
〔処分業者〕
株式会社Area.ic(エリアアイシー;旧商号:株式会社アイコム):札幌市中央区
株式会社クライアンフ:札幌市北区
株式会社ベンチャープランニング:札幌市白石区
株式会社コネクション:札幌市中央区
株式会社JYC:札幌市中央区
HearTs株式会社:札幌市中央区
尚、この6社に株式会社プロンティア、株式会社ブリッジの2社を加えた8社についても、消費者庁は同日、「モバプロ」と称するモバイルWi-Fi(ワイファイ)契約の際に「SNSで2ヶ月間に1回、利便性をPRすれば月額代金と同額の報酬を支払う」と勧誘しておきながら、実際には報酬を支払わなかったとして3ヵ月の業務停止命令を発出しています。
【アナログ戻しの手口と被害】
アナログ戻しの勧誘員は、「NTT地域連絡担当」や「NTT加入電話切替サポートセンター」といった社名をかたり、さもNTTの工事代理店や関連事業者であるかのように装い、「インターネットをあまり使っていないのに、光回線で高いお金を払い続けるのはもったいないですよ」などと話し、「アナログ回線に戻せば電話料金も安くなるし、キャッシュバックもあります」などとアナログ戻しの工事を勧誘します。
エリアアイシーなどの勧誘員の事例では、「NTTの月々のアナログ回線基本料が1,870円なので、月々の支払が2,310円くらいになりますよ」と現在の光回線よりもお得になると説明しています。
さらに、「ただしアナログ回線に変更するには、プライムサポートに加入する
必要があり、サポート料は月3,278円です」とサポート契約を案内します。
当然、NTTの基本料とは別に3千円以上かかるので得でも何でもないのですが、以下の説明をたたみかけて損はないように思い込ませます。
〇 サポート料の支払は最初の6ヶ月間だけ
〇 アナログ回線戻しの工事費(2,200~13,200円)はキャッシュバックする
➡実質工事費無料
このように、最初の半年は割高に感じても工事費が実質無料であったり、長い目で見ればお得だという趣旨の説明をして契約させています。
しかし、実際には解約申請を行わない限り6ヶ月経過後もサポート料は発生し、気が付かなければ毎月3,278円、年間39,336円を支払い続けることになります。
当然、勧誘の際に「解約しないとサポート料はかかり続けますよ」などと正直に告げることもなく、また契約書面についても、規定(日本産業規格Z8305)の8ポイントに満たない小さな文字で記載されており、きちんと説明を受けなければわかりにくい内容となっています。
【解約条項をチェックする】
悪質商法やサブスク契約において問題になるポイントとして、「解約」しない限り料金が発生し続ける点があり、今回の事例でも6ヶ月だけのサポート料金と思わせておいて、あわよくば未来永劫、サポート料金をせしめようという手法が用いられています。
さらに解約しようとしても規定で高額な解約手数料を請求されるケースもあるため、契約の際には解約条項を念入りに確認することも大切です。
【アナログ戻しは自分でNTTに電話すればOK】
NTTでは「アナログ電話への契約変更」を勧誘するなどの営業行為は一切行っていませんので、アナログ戻しに関する勧誘を受けても相手にしないことです。
また、インターネットを使わなくなったなどの理由で、アナログ回線への変更を希望される場合は、NTTの営業窓口「116」番(通話料無料)※1に電話して手続きをすれば問題ありません。
※「116」が利用できない端末の場合:0120-116-000
費用は工事費用(2,200円~※2)のほか、NTT光(フレッツ光)の「2年縛り」契約に基づく「違約/解約金」が必要になります。
※2 アナログ回線が屋内に引き込まれていない等、派遣工事が必要な場合は1万数千円程度
【アナログ回線廃止の勧誘にも注意】
NTT(東日本・西日本)が来年(2024年)1月より行う固定電話回線のIP網統一化に便乗し、「アナログ回線が終了するので電話が使えなくなる」、「光回線を使うには新たに契約変更が必要」などと虚偽の説明をする電話や訪問販売も確認されているので注意が必要です。
その手口はNTTの職員をかたるなどして「固定電話の配線が古くなっている可能性があるので、修理する必要があるかもしれません」、「アナログ回線は使えなくなるのでデジタル回線への変更が必要です」といった勧誘電話や、インターネット上にも一部のウェブサイトで「固定電話は廃止される」と表記されるケースもあり、あたかも《今、利用している固定電話が使えなくなる》と誤認しかねない情報が散見されますが、固定電話が使えなくなることはありません。
悪質業者はあの手この手で私たちを騙そうとしてきます。
とくにNTTの名前を使った詐欺や悪質商法が横行していますので十分な注意が必要です。