2023年4月11日
総務省は11日、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)」に関し、法に規定する方法で本人確認を行わずに携帯電話の契約を行ったとして、 株式会社フェイス(大阪市中央区南新町)に対して是正命令を発出しました。
また、株式会社フェイスに対して監督義務を負うソフトバンク株式会社(東京都港区)及びテレコムサービス株式会社(東京都豊島区)に対し、媒介業者等に対する監督を徹底するよう指導しました。
― 株式会社フェイスのWebサイトより ―
フェイス社はモバイルコンサルティング事業を全国で展開しており、主に関西エリアを中心に、ソフトバンクショップ及びワイモバイルショップを運営しています。
【特殊詐欺に悪用される携帯電話】
携帯電話の新規契約及び名義変更の際、事業者は契約者等の本人確認を行うことが法律で義務付けられています。
しかし、携帯電話の契約締結に際して十分な本人確認が行われていないケースもあり、そうした携帯端末は架空名義で契約されている可能性があり、特殊詐欺等の犯罪に利用される恐れがあります。
振り込め詐欺等の特殊詐欺で使われる携帯電話は、詐欺犯が特定されないよう、他人名義や架空名義で契約され携帯電話が使われる事が多く、こうした携帯電話は「飛ばし携帯」と呼ばれています。
SIMフリー端末があれば、架空名義で契約されたSIMカードを順次、使い回していけば「飛ばし携帯」を半永久的に使う事ができます。
プリペイドSIMカードも含め、本来は購入時にSIMカードの番号や身分証の番号が控えられ(コピーも取る)、本人確認が徹底されるべきですが、中には回線契約に際して十分な本人確認が行われていないケースもあり、架空名義による回線契約の温床となっています。
(写真はイメージです)
このように契約者の本人確認が不十分なケースの他、生活困窮者が多額の借金のかたに回線契約させられたり、報酬目当てでSIMカードをネット上で売買するケースもあり、飛ばし携帯がなくならないのが現状です。
【スミッシングに悪用も】
特殊詐欺グループは不正に入手した携帯電話(スマートフォン)のショートメッセージ機能(SMS)を使い、宅配業者や金融機関を装ってメッセージを送信し、詐欺サイトへ誘導してクレジットカード情報などを盗み取ることもあります。
これはスミッシング※1と呼ばれるもので、実在の宅配事業者をかたって《不在連絡》を装い、詐欺サイトへ誘導するなどの手口が確認されています。
※1 フィッシングメールのSMS版
【名義貸しにも注意】
犯罪グループが「飛ばし携帯」を入手する方法には一般人に《名義貸し》をさせるケースもあり、生活困窮者が多額の借金のかたに回線契約したり、若者がアルバイト感覚で簡単に報酬を得る目的で、名義貸しを行う事例もあります。
「携帯の名義人になってくれたら2万円あげるよ」などと言われ、軽い気持ちで回線契約を結んでしまうと、後に数十万円もの請求が届いたり、最悪の場合は警察の捜査対象となってしまう恐れがあります。
そもそも、自分名義で契約した端末を携帯電話会社に無断で第三者に貸すことは携帯電話不正利用防止法で禁止されており、「通話料は買い取った業者が支払うので負担は生じないですよ」などと言われたとしても、絶対に相手にしてはいけません。
なお、付き合っている彼氏・彼女等から頼まれたため、自己名義の回線契約を相手にさせるケースも法令違反※2となるので注意が必要です。
※2 MNPの移転先を家族名義にするなど、家族間については例外が認められています
好きな相手であったとしても、後々、諸般の事情でトラブルに発展する恐れもあるため、「自分の名義」は大切に扱いましょう。