2023年2月27日
SNSやマッチングアプリでやり取りしている相手から、「必ず儲かる」などと暗号資産(仮想通貨)へ投資をするよう勧誘され、多額の保証金や手数料名目でお金を要求されたり、投資資金が出金できなくなり、お金をだまし取られる被害が多発しています。
佐賀県鹿島市では759万円相当がだまし取られる被害も発生しており、被害者の男性(30代)はSNSで知り合った外国人女性(自称)から「暗号資産の取引で、ひと月に20万ドル以上儲けている」などと暗号資産による投資話を持ちかけられ、昨年12月17日頃から今年1月5日までの間に計6回にわたって759万円を送金してしまいました。
こうした手口は「儲かる暗号資産がある」、「わからなくても購入の仕方を教える」などと素性のハッキリしない暗号資産や暗号資産の販売所または取引所(交換業者)を勧め、現金を暗号資産に交換(送金)させるのが典型例で、いざ出金しようとすると「出金には追加の手数料がかかる」、「証拠金が必要」などと次々に高額な費用を支払わせようとしてきます。
その後、急に「あなたの口座は凍結されました」、「マネーロンダリングの疑いが掛けられている」などと連絡が入って出金できなくなったり、パスワード入力がエラーとなってログインできなくなるなど、最終的には取引業者や勧誘者とも連絡が取れなくなり、お金が戻ることは二度とありません。
犯人はSNSを利用してターゲットを募ることが多く、SNS上で《セレブ生活は暗号資産のおかげ》などと魅力的な内容を発信してフォロワーにアプローチしたり、掲示板でやり取りして暗号資産の勧誘を行います。
また、犯人が婚活サイトやマッチングアプリに登録しているケースもあり、仲良くなるにつれ将来の資金を一緒につくりましょう、などと暗号資産やFXへの投資を勧誘することもあります。
この他、LINE投資セミナー詐欺のように、SNS上の投資関連グループでのやり取りの中で、暗号資産への投資を勧誘するケースもあるため注意が必要です。
【架空の残高にだまされない】
暗号資産関連の詐欺では被害額が数百万円から数千万円と高額になるケースが多く、老後資金として貯めていたお金をすべて投資してしまったり、借金までして多額の現金を用意してしまう被害者が後を絶ちません。
ただし、全ての被害者が最初から大金を投じているわけではなく、はじめは用心深く、少額投資で様子を見る人も多いのですが、暗号資産が月利20%以上という超高金利で増えていく体験を通して、次第に大金を投じるようになっているようです。
しかし、いくら暗号資産の残高が1億円相当になったとしても、それは犯人グループが作った架空のシステム上の話であり、画面上のデータには何の意味もありません。
ポンジスキームに代表されるように、投資関連詐欺ではまず初めに、預けた1万円が月利50%で1ヵ月後には1万5千円になって戻ってきた、というように実績を示して信用させ、徐々に高額な投資に慣れさせて大金を奪い取るのが常套手段となっています。
さらに友達紹介で紹介料がボーナスとして入る、などとマルチ商法まがいの手口で被害者を連鎖的に増やそうとする手口もあるため注意が必要です。
そもそも暗号資産は法定通貨ではなく、ただの電子データですので、価格の急激な変動で価値が大幅に下落することもあり、現状では投機的な側面が大きく、まっとうな投資対象と考えるのは難しいと思われます。
もしも暗号資産の取引業者(交換業者)を利用するのであれば、少なくとも暗号資産交換業に登録された事業者※を選び、間違っても海外の取引所へ送金するような事は避けるべきでしょう。
※登録制ですが金融庁や財務局が暗号資産の価値を保証および推奨するものではありません。
SNSは便利な反面、セレブを装ってフォロワーの中からターゲットを探したり、恋愛感情を巧みに操ってお金の話へ誘導するなど、犯罪ツールとして悪用もされています。
SNSをきっかけに知り合った人からの投資勧誘には十分警戒し、安易に投資してはいけません。