《修理・リフォーム》もクーリング・オフ可能

2023年2月8日

点検商法による修理・リフォーム工事のトラブルが絶えません。

とくに屋根や水回り関連で被害が目立っており、いずれも日常的に確認しづらく、素人にはわかりにくい点が悪質業者につけ入る隙を与えているようです。

点検商法とは、修理やリフォーム工事等の勧誘であることを告げずに点検を持ち掛け、不安をあおって契約させようとするもので、いきなり訪問してきて「瓦がずれているので、固定した方がいい」などと修理が必要だと思わせたり、電話勧誘やチラシ、インターネット上で格安料金をうたって問合せを受けて訪問し、高額料金を請求するなど、さまざまな手口が確認されています。

また、後になって契約解除させないよう、クーリング・オフができないと告げる業者もありますが、こうした主張は「不実告知」となり、消費者契約法や特定商取引法により契約自体が取消となります。

【修理やリフォームもクーリング・オフできる】
「修理はクーリング・オフの対象外」、「クーリング・オフするなら違約金が発生する」、「材料も用意しちゃったし交通費もかかってる!」などとクーリング・オフさせないために事実と異なる説明や、威迫といった手段に出るケースが増えています。

しかし、リフォーム工事や修繕工事についてはクーリング・オフ制度の対象となっているほか、契約締結時には特定商取引法(特商法)第4条ならびに第5条に定める規定に基づく書面を交付する義務があります。

契約時の書面には、クーリング・オフ制度についての説明が赤枠内に赤字で記載される必要があるなど、消費者保護を目的とした規定があり、これらの規定を満たした書面でなければ、無条件にクーリング・オフを行使できます。

しかし、消費者の知識不足につけ込んで強引に契約解除を妨げる行為が後を絶ちません。

先月、1年間の業務停止命令(1月26日付)を受けた訪問販売業者(リオテック:神奈川県川崎市)の事例では、下記のような違反行為が確認されています。

〔不実の告知〕
 「足場などを手配しているため、クーリング・オフはできません。」
 「訪問販売ではないからクーリング・オフはできませんよ。解約すると材料費、人件費で
  約100万円の違約金がかかります。」
 「修理であって、物は売っていないので訪問販売ではない。クーリング・オフできない。」
 「違約金として契約額の40パーセントを払ってもらう。」

リオテックの社員が言っている事はすべて嘘偽りで、物を売らない修理は訪問販売ではない、などまったくのデタラメです。

また、悪質商法においては契約解除を申し出た消費者に対し、解約手数料やキャンセル料と称して高額の費用を請求するのも常套手段となっています。

しかし、特商法では実際の損害額を超える部分や、遅延損害金について年利14.6%を超える部分については不当な契約条項として無効とされているほか、上述の通りそもそも規定通りの契約書面が交付されていなければ契約自体が無効となります。

法外な金額を請求された場合はすぐに支払わず、消費生活センターなどの相談機関に話をしてから対応するようにしてください。

〔威迫による契約解除妨害〕
 「なんで、そういうことをやるんだ!解約した理由は!?」
 「クーリング・オフなんてできない!
  本人以外から電話があったし、クーリング・オフは認めない!」
 「身内でもない人にそんな話して!身内でもない人にクーリング・オフの相談しても、
  こっちは認めない!」

このように大きな声を張り上げ、怒鳴り口調で主張するなど、威迫して消費者を困惑させる事例も確認されています。

これらの行為はすべて特商法違反となりますが、威圧して居座り続けるなど悪質な場合は、躊躇せず警察に通報してください。

【自宅へ呼んだ場合でもクーリング・オフできる】
悪質業者がクーリング・オフを妨害する手段の一つに、消費者自らが事業者に連絡するように仕向け、あたかも消費者主導で契約を締結したと主張するパターンがあります。

たとえば電話勧誘で「見積りだけなら無料なので見てあげましょうか」などと訪問を承諾させたり、格安料金が掲載されたチラシやインターネット広告を見て問い合わせをしてきた消費者に対し、「ちょうど今日までキャンペーン中なのですぐ見ますよ」などと訪問の約束を取り付け、やってきた作業員が作業内容などを明示しないまま修理や交換作業を進めてしまいます。

その結果、高額な費用に対して消費者が問いただしても、「あなたが呼んだから来たんだ」、「もう作業しちゃったんだから戻せないよ」などと自らの正当性を主張します。

たしかに、「〇〇を購入するので来てください」などと消費者側が購入やサービス申込の意思表示をした上で、業者を自宅へ呼ぶなどして契約を締結した場合はクーリング・オフ制度は適用されません。

しかし、実際に作業内容や購入内容、料金などが明確な状態でリフォームや修繕工事を依頼する事は通常ありえませんし、上述した通り規定を満たした契約書によって契約が締結されていなければ、契約そのものが無効となります。

悪質業者は「話だけでも聞いてもらえませんか」、「とりあえずご説明に伺います」などと食い下がり、何としても訪問しようとしますが、その裏には《訪問してしまえばこっちのもの》という下心があるので、しつこく訪問したがる業者には警戒するべきです。

中には、しっかり作業内容や見積書を確認してから契約の話をしたいという意味で、「話を聞いてから契約を決めたい」と伝えたとしても、悪質業者は「『契約を決めたい』と言われたから訪問したのだ」と言い張り、クーリング・オフ制度の適用除外を主張してくることもあります。

このように百戦錬磨の悪質業者を相手に一般の消費者がその場で対等に渡り合うのは困難と思われますので、被害を防ぐためにも、絶対にその場で契約書にサインせず、必ず第三者に間に入ってもらうか、消費生活センターに相談するよう心掛けてください。

大声で怒鳴られたり威圧的な態度で契約締結を迫って来た場合には、迷わず警察に通報してください。

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