《自動音声ガイダンス》のアンケート電話に注意

2023年1月25日

電力会社を装った自動音声電話(オートコール)により、自動診断アンケートなどと称して契約情報を聞き出したり、電力プランの乗り換え勧誘を行ったりする不審な電話が全国で確認されています。

広島県ではこの1月、080からはじまる番号から機会音声によるアンケート電話の後、別の050からはじまる番号で電力会社の職員をかたる者から「アンケートに答えた方に電話している」、「アンケートに答えてくれた方の月々の電気代が安くなる」などと勧誘する詐欺電話が確認されているとして広島県警が注意喚起しました。

このような自動音声ガイダンスを使った電話のほとんどが080からはじまる番号によるもので、「080-2463-033●」や「080-9681-330●」、「080-4185-671●」など数十種類の番号が使われています。

なりすましが確認されているのは東京電力をはじめ関西電力や中部電力、北陸電力、中国電力、四国電力、東北電力、九州電力など全国に及び、「省電力化の一環で電気料金削減のため1分ほどのアンケートを実施しています」等の内容でアンケートの協力を求めてきます。

電力会社からの機会音声による電話ということもあり、ついアンケートに答えてしまいがちですが、正規の電力会社が自動音声ダイヤルを使ってアンケートを行うことはなく、こうした電話はすべて詐欺ですので注意が必要です。


【詐欺に利用されるオートコール】
着信後、自動音声ガイダンスが流れる電話はオートコールとも呼ばれ、専用のシステムを利用すれば簡単に発信することができます。

オートコールシステムは指定した電話番号リストへ一斉に自動発信できるシステムで、1台で1日数千件~数十万件、中には1時間に30万件発信できるシステムもあります。

また、専用ソフトを使えば電話番号リストが収納されたExcelやAccessなどのデータを用いて発信できるため、インターネット環境とパソコンがあれば誰でもオートコールシステムを構築できるほか、専門のオートコール業者から数多くのオートコールシステムが提供されており、クラウド上で利用できるケースも増えています。

そのため、悪質業者や詐欺グループに悪用されることも多く、オートコールシステムのSMS通知機能を使って、『【重要】送電停止に関するお知らせ 』といったショートメッセージを送りつける架空請求詐欺も発生しています。


【リスト化される危険性】
オートコールシステムで一斉に発信することで、アンケートへ回答した人や回答内容に基づいたリストを作成することができるため、こうしたリストが悪質営業や特殊詐欺のターゲットリストとして悪用される恐れもあります。

また、同じ電話番号に時間帯を変えて複数回発信することで、不在や在宅のデータを蓄積し、相手の在宅時間帯や外出時間帯などの行動パターンを把握することもできます。

これらの情報を元に、悪質業者や詐欺グループは狙いやすいターゲットを絞り込みますので、安易なアンケート調査への応対は控えるべきでしょう。

もちろん、オートコールの中には調査会社による世論調査や未入金に関する督促、会員登録やログイン時の本人認証など、さまざまな理由で使われる場合もあるため、すべてが悪質業者や詐欺というわけではありませんが、リスク回避の観点からも自動音声ガイダンスが流れたら警戒を怠らず、あやしいと感じた時点ですぐに電話を切るようにしてください。


【強盗につながる可能性も】
こうした電話は電力自由化以降、悪質な業者が営業目的で電話をかけているパターンと、特殊詐欺グループがターゲットの資産状況や家族構成などの個人情報を得るために仕掛けるパターンがあり、とくに詐欺グループが相手の場合、生命の危険にさらされる恐れもあります。

詐欺グループはターゲットの預貯金額や家族構成を聞き出した上で、どのような手口が効率よく騙せるか考えた上で特殊詐欺を仕掛けてきます。

しかし、最近ではターゲットの自宅に多額の現金があると判明した時点で、手間のかかる詐欺よりも、直接、盗みに入った方が効率的と短絡的に考えて窃盗や強盗に及ぶケースも増えてきました。

昨年9月には福島県内で電力会社の委託業者を名乗る者が「明細書を無料にできる抽選に当選しました。」「契約変更のため通帳と印鑑を用意してください。取りに伺います。」などと話し、自宅へ押しかけようとする事案も確認されています。

犯罪者と相対する事で、金銭だけでなく命の危険性も増していく事を考えると、こうした「自動音声アンケート」にも十分警戒する必要があります。


【委託会社を装う手口】
電力会社を騙るケース以外にも、《電力自由化センター》を名乗るケースや、《関西電力保安センター》や《中国電力保安コールセンター》など電力会社の委託会社風の社名を名乗る場合もありますが、そのような事業者は存在しませんので騙されないよう注意が必要です。

電話だけでなく、いきなり自宅へやって来てアンケート調査をお願いしてくる事例もありますが、アンケートに答える義務はまったくありませんので、きっぱり断ることが大切です。

他にも「多く支払った電気料金を返金したいのでATMで手続きしてください」と話してATMへ誘い出すケースや、《メーター交換》《漏電調査》《分電盤の修理》《コンセントの検査》等の名目で電気器具などの点検・取り換えを行い、工事代金として高額請求する手口にも注意してください。

とくにメータ―交換については、全国の9割弱がスマートメータ―へ切り替えられているものの、一部で《スマートメータ―へ交換します》と言って工事費を請求する事例が散見されます。

スマートメータ―の設置工事は原則無料で料金はかからないほか、立ち合いも不要ですので、スマートメータ―設置に関する費用請求をされた場合、ただちに警察に通報してください。

なお、電力会社やその委託会社の職員は電力会社が発行した「勤務証(証明書)」を携帯していますので、必ず身元を確認してください。

電力会社を装う電話や訪問は今後も続くと思われますが、被害に遭わないためにも《自動音声電話によるアンケート》などの手口を知っておき、家族や周囲の方々とも防犯知識を共有しておくことが大切です。

新着情報一覧

▲ページのトップへ