2022年12月14日
「古いキャッシュカードは年内で利用できなくなる」などと偽り、新しいカードに交換するという口実でキャッシュカードをだまし取る特殊詐欺が発生しています。
福島県郡山市では12月13日、金融機関の職員をかたる男から高齢女性宅に電話があり、
「12月末でキャッシュカードが使えなくなる」
「カードを新しくするので、使っているカードを預かります」
「外国人の職員が取りに行きます」
などと話した後、女性宅を訪れた外国人風の男がキャッシュカードを預かって立ち去りました。
キャッシュカードを交換する必要がある、と話す手口では以下のようなトークが使われています。
〇 キャッシュカードの期限が切れたので更新が必要です。
〇 防犯機能付のキャッシュカードに替える必要があります。
〇 犯罪グループにあなたのカード情報が漏れたので、
被害防止のためキャッシュカードを使えなくしました。
〇 ICチップ内蔵タイプのカードに替える必要があります。
〇 新硬貨発行に伴い、キャッシュカードも切り替わります。
〇 お使いのカードが古くて還付金の振り込みができません。
〇 磁気タイプのカードは利用できなくなります。
これらの理由で手持ちのキャッシュカードが使えなくなると思い込ませて自宅を訪問し、古いカードを預かるふりをして騙し取るのが犯人の目的です。
詐欺犯はもっともらしい理由を言いますが、銀行などの金融機関が「キャッシュカードが使えなくなる、新しいキャッシュカードにする必要がある」といった内容の電話をかけることは絶対にありません。
ICチップやら偽造防止技術といった言葉に惑わされがちですが、キャッシュカードを新しくしないと使えなくなるわけではないので注意してください。
【キャッシュカードを渡さない】
銀行や銀行協会、または金融庁の職員が、手続きのためにキャッシュカードを自宅まで取りに来る事は絶対にありません。
キャッシュカードを再発行したり提出するといった手続は、銀行など金融機関の窓口でのみ受け付けており、職員が巡回して回収するというのもありえません。
たとえ相手が警察官であっても同様で、「証拠保全」や「犯人検挙のため」といった理由を告げられたとしても、絶対にキャッシュカードを渡してはいけません。
また、本物の銀行員がキャッシュカードの暗証番号を聞くことも絶対にありませんので、聞かれても教えてはいけません。
【キャッシュカードの今後】
従来のキャッシュカードは磁気ストライプにカード情報を格納するタイプで、電子レンジやパソコンといった磁気の影響を受けてカードが読み取りできなくなったり、専用機器で磁気データをコピーするスキミング被害に遭うリスクがありました。
これに対し、磁気の影響を受けず、情報の暗号化が可能なICチップ搭載型のカードが登場しています。
また一部の金融機関では、生体認証機能付きICカードを発行しています。
これは暗証番号の他に、手指の静脈パターンを登録して本人確認を行う「指静脈認証」と呼ばれる技術が組み込まれたキャッシュカードで、万が一、暗証番号やカードが盗まれたとしても、他人がATMから現金を引き出すことはできません。
ただし、コンビニATMのように静脈認証端末がなく、生体認証に対応していない場合、暗証番号入力による取引となってしまうため、詐欺被害のリスクは残ります。
キャッシュカードが進化しても、現段階では暗証番号は他人に教えず、カードも他人に渡さない、といった基本を守る必要があります。
【カードの再発行は銀行窓口で】
キャッシュカードがATMで読み取れない、または破損した等の理由でカードを再発行する場合、銀行の窓口で手続きを行いますが、通常は通帳とキャッシュカードの他に、届け出印や運転免許証、健康保険証など本人確認できるものを持参する必要があります。
繰り返しですが銀行の窓口以外で職員が自宅へ来て手続きしたり、カードを回収する事は絶対にありませんので、十分に注意してください。