少短・ミニ保険に注意【ユアサイド登録取消処分】

2022年12月9日

今年9月、6ヶ月間の業務停止命令が発出されたユアサイド少額短期保険株式会社に対し、中国財務局は12月8日付で少額短期保険業の登録を取り消す行政処分を行いました。

ユアサイド少額短期保険は、経営悪化により給付金の支払い能力が無い状態にもかかわらず保険募集を続けていたため、経営管理態勢の抜本的な見直しや必要な資金調達などの業務改善命令が発出されていましたが、これらの命令事項を履行していませんでした。

さらには保険料収入がない中で、取締役や株主からの借入金により一部の事業費を賄うなど財産状況は著しく悪化しており、社会保険料や保険計理人等への外注費といった未払金の増加に加え、現金化可能な流動資産も枯渇するなど、全ての支払が不可能となり破綻する可能性が高い状態に陥っていたため、今回の登録取消処分となりました。

【相次ぐ少額短期保険の破綻】
ユアサイド少額短期保険は子ども向けの病気やケガを保障する総合保険「初恋」を販売しており、死亡保険金や重度障害保険金、入院一時保険金、など8つの補償項目について、保険金額に応じた3つのプランを設定しています。

          ― ユアサイド少額短期保険 Webサイトより ―


この保険は保険業法上の規制対象となる「少額短期保険」で、「ミニ保険」や「少短」とも呼ばれており、生命保険会社・損害保険会社に次いで2006年に発足した第三の保険会社である「少額短期保険会社」が扱う商品です。

「少額」※1かつ「短期」※2の保険で、子ども向けの総合保険や高齢者向け保険、さらにペット保険や葬儀保険、自転車保険、旅行保険…と数多くの種類があり、近年ではいじめ保険や新型コロナ保険など新しい商品が次々に登場しています。
※1 上限保険金額は死亡(病気)300万円、死亡(傷害)600万円、医療部分(80万円)、損害保険(1,000万円)など
※2 上限保険期間は生命保険、傷害疾病保険は1年、損害保険は2年

保険金額を抑えて短期間の保障を得られる点では使い勝手の良い保険といえますが、少額短期保険会社には生命保険会社や損害保険会社のように保険契約者保護機構が存在しないため、少額短期保険会社が経営破綻した場合には補償が受けられず、掛金が戻ってこない可能性もあります。

そもそも扱う保険金やリスクが小さいため、生命保険会社・損害保険会社のように金融庁の認可は必要なく、財務局へ届け出れば事業に参入できるため、保険事業に不慣れな異業種からの参入や、財務状況およびリスク管理が脆弱な企業が紛れ込む可能性が十分あり、今年に入ってからはユアサイドだけでなくペット保険を扱うペッツベスト少額短期保険が6月の業務停止命令の後、9月には実質破綻したほか、新型コロナ保険等を扱うjustInCaseが6月に業務改善命令を発出されるなど、行政処分が続いています。

【保険会社の財務状況をチェックする】
❝ お子様の成長を見守る ❞ や ❝ 80歳からでも入れる ❞ ❝ もしもの安心葬儀に ❞ ❝ コロナ助け合い ❞などと魅力的なキャッチフレーズで数多くの少額短期保険が販売されていますが、上述の通り商品を扱う保険会社の財務状況が悪化していれば、契約した補償が受けられない恐れがあります。

保険会社の経営状態を判断する材料の一つに、ソルベンシー・マージン比率と呼ばれる支払余力を示す指標があり、通常は200%以上であれば安全とされていますが、優良な保険会社では比率が3000%、5000%、中には10000%を超えるケースもあります。

対して200%を下回る場合や、そもそもソルベンシー・マージン比率を公表していない保険会社には注意が必要です。

保険業法では保険会社の経営内容の公開(ディスクロージャー)が義務付けられており(第272条17の規定)、通常は決算毎にディスクロージャー誌などに財務状況やソルベンシー・マージン比率も掲載されます。

通常、各保険会社のWebサイトには必ずディスクロージャー誌に相当する内容が掲載されていますが、ユアサイド少額短期保険社の場合は見当たりません。

残念ながら全ての保険会社のディスクロージャー誌やソルベンシー・マージン比率を一覧にしたWebサイトは存在せず(一部をまとめたものはある)、金融庁のWebサイトにも一覧の掲載はありませんので、1社1社確認するしかありません。

しかし、少額といえどもお金を支払う以上、保険内容だけでなく保険会社の財務状態についても事前に確認する必要はあります。

少額短期保険会社の場合、一般社団法人日本少額短期保険協会のWebサイト内に《会員各社のディスクロージャー誌紹介ページ》が設けられており、このページから各社の財務状況やソルベンシー・マージン比率を確認することが可能です。

同協会には116社の少額短期保険会社が正会員として登録しており、ユアサイド少額短期保険社も正会員となっています。

しかし、ディスクロージャー誌紹介ページにユアサイド少額短期保険やペッツベスト少額短期保険の名前は記載されているものの、リンクは設定されておらず、同協会からユアサイド少額短期保険社のディスクロージャー誌を確認することはできません。
※justInCaseはディスクロージャー資料が公開(2022年3月期)されており、ソルベンシー・マージン比率も確認できます

また、ユアサイド少額短期保険社以外にもリンクが設定されていない保険会社が48社確認できましたが、自社サイト内では決算公告・ディスクロージャー資料を公開している場合もありますので、まずは同協会のWebサイトと、各保険会やのWebサイトを確認し、事業年度ごとの業務、財産の状況とソルベンシー・マージン比率について確認する必要があります。

どちらを探しても資料が見当たらない場合は直接問い合わせたり、資料を取り寄せて確認すべきで、もしそれらが不可能という事であれば、おすすめできる保険会社とは言えないでしょう。

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