ハウスメーカーから《老人ホーム》の電話に注意

2022年5月16日

住宅メーカーやハウスメーカーの社員をかたり、「老人ホームの入居権を譲ってほしい」などと持ち掛け、名義貸しトラブル解決名目でお金を要求する詐欺の電話が先月に引き続き今月も全国各地で確認されています。

とくに北海道では多発しており、赤平市では15日、住宅メーカーの社員を名乗る男が「赤平に老人ホームが建設予定であるが名義を貸してほしい」などと電話をかけてきた他、14日には千歳市内のお宅に「老人ホームに入る権利がある、その権利を誰かに譲っていいか」などの電話がかかっています。

また13日には群馬県伊勢崎市内でハウスメーカーの社員をかたる者から「伊勢崎市内に介護施設を作ります。あなたは、優先的に入居できる枠に当たりました。」などと電話をかけており、全国的に老人ホーム入居権に関するアポ電が増加傾向にあります。


【老人ホーム入居権詐欺の手口】
この手口の特徴は、不動産業者などを装って電話をかけ、あなたに老人ホームの入居権があるが、要らなければ他に入居したい人に譲ってもよいか?などと話して承諾させ、次に弁護士や国税庁、警察などを装う者が、名義貸しは法律違反でこのままだと逮捕されるが、今なら先方と示談で解決できるがどうしますか?と現金を要求する2段構えになっている点です。

このように複数の登場人物が現れて行われる詐欺は「劇場型詐欺」とも呼ばれ、警察や弁護士に扮した者が矢継ぎ早に「訴訟」・「逮捕」・「起訴」・「示談」といった言葉で危機感を煽り、冷静さを奪って多額の現金を払わせるものです。


アポ電では、「三井ホームズ」や「野村ホームズ」といった架空のハウスメーカー(不動産会社)や介護サービス職員、医療介護の仲介業者などを装い、老人ホームの入居権について次のような話をします。

「鹿島が有料老人ホームを建てる計画がある。あなたに優先的な入居権があるので、辞退するなら権利を譲って欲しい(入居権を売って欲しい)」

「釧路に新しくできる老人ホームに入居したいという人が本州にいるのですが、あなたの名義を貸して欲しい」

「美唄市に老人ホームができる予定で、美唄の65歳以上の方に優先的に電話している。入居権があるけど、使わないならあなたの名義を貸してほしい」

「江別市内に老人ホームを建てる計画があり、65歳以上の江別市に住む人が権利があります。入居する権利を他の人に譲ってくれますか。」

「老人ホームに入所出来るが、入所を希望しないなら、被災者を入所させたいので名義を貸して欲しい。」

「山口市に養護老人ホームができる。あなたに入居の優先権があるが、譲ってもらえないか。」

「老人ホームの入居権が当たった。権利放棄するなら名義を貸してほしい。」

「老人ホームに入所する権利を一千万円で売って欲しい。」



入居権はいらない、名義を貸すだけ、と安易に権利を譲ってしまうと、次に弁護士や警察官、または保険会社や金融庁の職員を名乗る者から「名義貸しが発覚した。それは犯罪」といった電話がかかり、示談名目や訴訟取下げ名目で多額の現金を送るよう脅されてしまいます。

「優先入居権の名義貸しは犯罪だ」

「なんで名義を貸したの。損害賠償金を支払ってもらう」

「名義貸しは違法だから解決金が必要です」

「このままでは裁判となり、訴訟取下げには供託金が必要となる」

「示談金が必要。お金が用意できなければ逮捕されます」

「あなたの名前で振り込みがされている。名義貸しになって法律違反になるのでお金が必要。」

「あなたの名義で購入されているが、これは金融商品取締法違反で犯罪です」

「名義貸しは犯罪だが100万円を払えば名前を消す」
「まだ罪が消えていない。貯金はいくらあるか」
「あと600万円支払え、さもないとパトカーが行く」

このように被害者は犯罪者として逮捕される、などと脅されるため示談金や供託金などで済むのであればと高額なお金を泣く泣く払ってしまうケースが後を絶ちません。

老人ホーム入居権に端を発する詐欺では、昨年8月に広島市内の80代女性が約20回にわたって約1億4,050万円をだまし取られたほか、11月にも郡山市在住の80代女性が合計2,800万円の被害に遭うなど、高額な被害も発生しています。

【名義貸しは違法】
名義を貸すだけ、などと深く考えず軽い気持ちで承諾してしまう方がおられますが、銀行口座の開設やクレジットカード発行に自分の名前を他人に使わせるのはもちろん、消費者金融やローンなど他人の借金を自分の名前で申し込んだり、会社の役員に名前だけ貸すなど、他人に名義を貸すのは違法です。

老人ホームの入居権であっても、他人が自分名義で手続きするのであれば、それは《偽装行為》として詐欺罪(刑法246条)に問われる場合があり、名義を貸した側も詐欺罪の幇助(ほうじょ)に当たる可能性もあり、ともに罰せられるリスクがあります。

『名義貸しは違法』ということを、しっかり認識しておく必要があります。

【そもそも ❝入居権❞ などありません】
老人ホーム・介護施設のほとんどは入所条件が厳格に定められています。

たとえば特別養護老人ホーム(特養)では要介護3以上の認定を受けていなければ入所できませんし、要介護1~2で入所できる特例の場合でも、認知症の診断を受けたり、家族の支援が受けられない独居世帯などに限られています。

さらに身元引受人(保証人)が必要となるほか、収入や資産についても確認されるなど、入所に当たってはクリアすべきポイントが多く、こうした基準を満たさなければ入所することはできません。

さらに特養の場合、各自治体ごとに入所調整基準という点数の仕組み(100点満点)が設けられており、特養入所の必要性の高い順に優先順位名簿が作られているのが一般的で、空きが出たからと言って突然、見ず知らずの方へ入所案内が行くことも、抽選で入所者を選定することもありません。

その他の民間企業であっても、入所希望者が応募しない限り入所できます、などと触れ回る事はまずありません。

老人ホーム・介護施設の入所の権利がある、などの電話がかかってきたら相手にせず、すぐに電話を切ってください。

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