2022年5月9日
警察官をかたる特殊詐欺で、「キャッシュカードが不正に利用されている」などと告げてキャッシュカードを回収しようとするアポ電が確認されています。
群馬県藤岡市内では9日、金融機関や警察官を名乗る者が電話で「あなたの口座から不正に現金が引き出されている」、「自宅でキャッシュカードに切れ込みを入れて使えなくします」などと話してキャッシュカードを回収しようとする事案が発生しています。
他にも警察官をかたって「キャッシュカードを偽造した犯人を捕まえた」などというアポ電が各地で確認されており、いずれもキャッシュカードを回収して現金を引き出すのが目的と思われ、2年ほど前から登場したキャッシュカードへ切込みを入れる手口も散見されます。
【キャッシュカードに切れ込み】
特殊詐欺のひとつであるキャッシュカード詐欺盗において、警察官や銀行協会の職員を騙って自宅を訪れた詐欺犯が、キャッシュカードにハサミで「切り込み」を入れ、カードが使えなくなったように見せかける方法は、 目の前でカードを切断するため「もうこのカードは使えないだろう」と安心させるのが目的ですが、切込みを入れてもカードは使える場合もあり注意が必要です。
一見、キャッシュカードを真っ二つに切断したり、大きく切り込みを入れてしまえば「もう使えない」と思ってしまいがちですが、2,3ヵ所切った程度ではカード情報が読みだされてしまう恐れがあります。
通常、キャッシュカードやクレジットカードでは、磁気ストライプまたはICチップにカード情報が記録されています。
また、ICチップなしのカードで磁気ストライプがカード表面にないタイプでは、磁気ストライプはカード内部に埋め込まれており、たいていはカード上部(矢印マークのある側)にあります。
一般にICチップを切断したり、折り曲げたりした場合は情報の読出しは困難になりますが、磁気ストライプは切断してもセロハンテープや接着剤でつなげることで、磁気情報の読出しが可能です。
詐欺犯はカードの情報読出しに支障が出ないよう、カード上部の磁気ストライプやICチップを避けて切り込みを入れた上で、「この通りカードは使用できなくなりましたので安心して下さい」と言って回収していきます。
この時、暗証番号を巧みに聞き出したり預かり票に記入させるなどして、預金を引き出してしまいます。
カードを破棄する場合にはICチップ付カードの場合はICチップを切断し、磁気ストライプはV字カットして、カット部分と分けて処分するなど後で修復できないよう細心の注意を払ってください。
この他、キャッシュカードにパンチで穴を開けて「もう使えなくなりました」とカードを回収する手口もありますが、これも磁気ストライプやICチップを避けて穴を空けるためカードは利用できてしまうので、だまされないよう注意してください。
【そもそもキャッシュカードは絶対に渡さない】
いかなる理由があっても銀行関係者や警察がキャッシュカードを受け取りに自宅を訪れることはありません。
カード再発行や口座解約などで銀行職員がカードを受け取る場合も「磁気部分をハサミでV字カットした状態のみ」(東和銀行、他)となっており、 多くの銀行では「キャッシュカードの破棄はご自身で」と謳っています。
警察の捜査であろうと、銀行職員がキャッシュカードに切り込みを入れようとも、キャッシュカードを持ち帰ったり(または預かったり)、暗証番号を聞いてたり記入させようとした場合は、間違いなく詐欺ですので直ちに110番通報してください。