【修理歴・走行距離の偽装】中古自動車で相次ぐ処分
2021.12.25

消費者庁は今月、中古自動車情報が掲載されたウェブサイトにおいて、虚偽の表示を行っていた中古自動車販売事業者3社に対し、景品表示法違反に基づく措置命令を12月14日および23日に相次いで発出しました。

3社はいずれも実際には修理歴があり、車体の骨格に損傷が生じた中古自動車について、中古自動車情報サイト上に「修理歴なし」と表示し、車体の骨格部分に損傷が生じたことのない中古自動車として販売していました。

また、3社はいずれも実際の走行距離よりも過小な走行距離を表示していたことも判明しています。

3社の名称および表示媒体は以下の通りです。


■ 名称:株式会社Needs
  代表:久保田 晃広
  住所:群馬県伊勢崎市田部井町2丁目1176番地12
  表示Webサイト:グーネット中古車

■ 名称:有限会社ガレージゼスト
  代表:山口 和紀
  住所:神奈川県横浜市瀬谷区阿久和西1丁目5番9
  表示Webサイト:Mjネット、カーセンサー

■ 名称:カーズショップ松山 
  代表:高畑 正志
  住所:愛媛県松山市南高井町1800番地
  表示Webサイト:グーネット中古車、カーセンサー

【安全面で重大な懸念】
今回の偽装は車両の骨格でもあるフレームに損傷を受けたにも関わらず、これを表示しなかった点において非常に悪質です。

自動車業界の自主規格「自動車公正競争規約」の11条には、修復歴の有無、走行距離の表示が義務付けられており、消費者契約法において修理歴は「重要事項」に当たるため、これを偽ることは「不実告知」となり処分の対象となります。

この修理歴とは、交通事故や災害などによりフレームに損傷を受けて修復されたものが認定されますが、フレームは乗車スペースを守る重要な役割を担っており、たとえ歪んだ部分を元の形に戻したり、ダメージのある部分だけを交換して溶接したりしたとしても、安全性と耐久性の面で不安が残ります。

尚、事故歴があってもフレームに損傷がなければ修理歴なしとなるため、とくに表示の義務はありません。

あくまでフレームに損傷を受けた場合に修理歴の表示義務が生じるので、たとえばボディの凹みや傷の修理については表示義務はありません。


【被害に遭わないために】
中古自動車販売において、修理歴の有無や車両の状態は正しく購入者に告知する必要があるにもかかわらず、一部の悪質業者では都合の悪い事実を隠して販売しているケースがあります。

よほど車に詳しい人でなければ、業者側の言い分をそのまま受け入れざるを得ず、カーセンサーやグーネット中古車といった大手中古車情報検索サイトに掲載されている情報であれば、無条件に信用してしまうのが一般的と思われます。

そうした中、修理歴や修復歴を確認する方法としては、点検記録簿を確認することと、中古車の鑑定士がいる販売店を選ぶことで、修理歴が偽造された車両を購入してしまうといった被害を少なくすることができます。

〔点検記録簿を確認する〕
中古車の点検記録簿は、「定期点検整備記録簿」または「分解整備記録簿」とも呼ばれ、整備工場による12カ月点検や24カ月点検等の法廷点検の際、整備内容や作業内容等が記録されたものです。

こうした点検記録簿を見せてもらう事で、中古自動車の状態を知ることができますし、逆に点検記録簿が無い、もしくは見せてくれない、といった場合には過去に事故などでフレームに損傷をきたした可能性も否めず、購入は控えた方が良いでしょう。

〔中古自動車査定士がいる〕
中古自動車の安全安心な流通を目的として、国道交通省と経済産業省の指導のもとに設立された一般財団法人日本自動車査定協会が運用する「中古自動車査定制度」に則った査定を行う「査定業務実施店」が全国に約7,800店あります。

   ― 中古自動車査定業務実施店には中古自動車査定士がいる ―


この査定業務実施店には査定協会が実施する学科や実技研修を経て技能試験に合格した「中古自動車査定士」がおり、査定協会が定めた[加減点基準]と所定様式の[個別査定書]を用いて中古車の状態をチェック、記録しています。

そして、査定した中古車と定められた標準の車両状態とを比較し、その中古自動車がいくらであるかを判定し、適正な販売価格が設定されるため、消費者も安心して中古自動車を購入する事ができます。

事故や修理歴の有無を確認するには、ボディパーツの接合部にズレや隙間がないか、車体全体に歪みが感じられないかを見てみると良い、といった意見もありますが、素人が判断するのは非常に難しいと思われ、やはりこうした専門の査定士がいる販売業者の方が安心といえます。


【ハイブリッド車やEVでは駆動バッテリーにも注意】
自動車産業においても脱炭素化が加速しており、ハイブリッド車やEV(電気自動車)などモーターを利用した自動車は中古自動車市場にも数多く出回っています。

こうした電気でモーターを回して車を走らせる自動車には、駆動用バッテリーが搭載されており、このバッテリーには寿命があります。

現在、新車として登場している車種であれば15年、走行15万km程度までは交換不要といわれていますが、例えば初代プリウスのような古い車両であれば駆動用バッテリーの状態はかなり劣化していると思われます。

初代プリウスの駆動用バッテリー交換費用は40~70万円(工賃込み)などと言われていましたが、最近の車両であれば交換費用は17~20万円(工賃込み)程度とされています。

しかし、それでも大きな金額となるため、中古自動車を購入後に駆動用バッテリーを交換せざるを得なくなれば、想定外の出費を強いられることになります。

販売されている中古のハイブリッド自動車をみると、「バッテリー交換済み」と表記された車両もありますが、中にはバッテリーの状態が判別できないものもあります。

ハイブリッド用電池が劣化すると、異常を示すチェックランプが点灯したり、「駆動用電池を点検してください 」と表示されることもあるため、こうしたチェックランプを確認するのはもちろん、バッテリー保証がついた車両を選んだり、上述した中古自動車査定士による査定結果を参考にするなど、ハイブリッド車や電気自動車では駆動用バッテリーについても注意してください。
※車種によります

中古自動車業界にも悪質な業者は存在しており、今回処分された3社だけであるとは言い切れません。

中古自動車といえども高い買い物に違いはありませんので、見かけ上のスペックや外観だけで判断せず、あらゆる角度から慎重に検討する必要があります。

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