クーリング・オフ適用除外の非該当事例〔消費者庁〕
2021.08.19

消費者庁は18日、訪問販売等の適用除外に関する事例形式のQ&Aを公表しました。

 ➡ 訪問販売等の適用除外に関するQ&A(PDF)

これは、クーリング・オフ制度が適用されない(適用除外)とされるケースについて、その事情や内容によってはクーリング・オフの対象となる事例を想定して作られたものです。

クーリング・オフとは消費者保護を目的として特定商取引法により定められたもので、電話勧誘販売や訪問販売等において売買契約もしくは役務提供契約を締結した場合に、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。

布団や浄水器、新聞購読、シロアリ駆除、リフォーム工事などさまざまな訪問勧誘販売の他、エステや化粧品、絵画などのキャッチセールスまたはアポイントメントセールスなどがクーリング・オフ制度の対象取引となっています。

しかし、何でもかんでもクーリング・オフ制度が利用できるわけではなく、インターネットショップなど通信販売での購入にはクーリング・オフ制度は適用されない他、自動車の購入(リース含む)や葬儀、水光熱費の契約、また飲食店での飲食やマッサージ施術などクーリング・オフ制度になじまない商品やサービスも適用除外とされています。

さらに指定消耗品に指定された配置薬や防虫剤など8つの製品群もクーリング・オフ制度は適用されない他、営業のために契約した場合や自ら販売事業者を自宅へ呼んで契約した場合なども、クーリング・オフの適用除外とされています。


【営業用の契約はクーリング・オフできない】
このようにクーリング・オフ制度が適用できない事例がいくつかありますが、とくに営業のために契約した場合は注意が必要で、特定商取引法・第5節雑則において「営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供」は適用除外とされています(第26条1項1号)。

具体的には店舗のホームページをはじめとしたWebサイトの制作業務やSEO対策、またPOSレジや電話FAX複合機といった事務機器、さらに近年では顧客管理システムに代表されるソフトウェアなど、明らかに事業者性があり営業目的で利用される商品やサービスがクーリング・オフ制度の適用除外とされています。

このため、とくに個人事業主や零細企業などで高額なローン契約を締結させられる被害が後を絶ちません。

【契約目的で自宅へ呼んだ場合はクーリング・オフできない】
自ら事業者に対して「〇〇を購入するので来てください」などと自宅で契約する旨の意思表示をした上で、自宅で申込や契約をした場合も、特定商取引法・第5節雑則において「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」は適用除外とされています(第26条第6項1号)。

たとえ事業者から勧誘目的の電話があった場合でも、消費者側に購入やサービス申込の意思があり、その目的で事業者を自宅へ呼ぶなどして契約を締結してしまうとクーリング・オフ制度の適用除外となってしまいます。

そのため事業者は勧誘電話で「話だけでも聞いてもらえませんか」、「とりあえずご説明に伺います」などと食い下がり、何としても訪問しようと勧誘してきます。

消費者が「話を聞いてから契約を決めたい」などと電話で伝えてしまうと、事業者は「『契約を決めたい』と言われたから訪問した」と言い張り、クーリング・オフ制度の適用除外を主張されてしまいます。


【適用除外に該当しない事例】
今回、消費者庁はクーリング・オフ制度の適用除外には該当しない(=クーリング・オフ制度が適用される)ケースとして、Q&A形式で以下2つの事例を公表していますので参考にしてください。

1)「営業のために若しくは営業として締結するもの」
Q:「誰でも簡単にすぐ稼げる」と電話で勧誘があり、興味があったのでその電話で情報商材を購入しました。

しかし、家族に相談したところ反対されたので、クーリング・オフしたいのですが、お金を稼ぐ目的で購入したので、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当して電話勧誘販売等の規制が適用されなくなるのでしょうか。

A:特定商取引法が、取引に不慣れな消費者との間でトラブルが多い販売類型を規制していることを踏まえると、お金を稼ぐといった利益活動を行う意思があることのみをもって、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に直ちに該当すると解されるものではありません。

「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当するかは、契約の対象となる商品又は役務に関する取引の種類、消費者が行っている(行おうとする)事業との関連性や目的、消費者が契約の対象となる商品又は役務を利用した利益活動に必要な設備等を準備しているかなどの事情を踏まえて、当該消費者が当該取引に習熟していると認められるかどうかを総合的に検討する必要があります。

設問の事例において、消費者の購入しようとする情報商材の内容が一般的なものではない、消費者が行おうとする事業が社会通念上事業の遂行とみられる程度の社会的地位を形成していない、消費者が契約の対象となる商品を利用した利益活動に必要な設備等を準備していないといった事情を踏まえて、当該消費者は当該取引に習熟しているとは認められないのであれば、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当せず、適用除外の対象とはならないと考えられます。

2)「売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」
Q:ポスティングされたチラシに「鍵の修理 3,000 円~」とあったので修理を依頼したところ、業者が自宅に来て自宅の鍵の状態を確認し、修理には特殊な作業が必要ということで代金は数万円になると言われました。自分から事業者に依頼したので、「売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」に該当して訪問販売の規制が適用されなくなるのでしょうか。

A:特定商取引法第 26 条第6項第1号の規定による適用除外について、同号の「請求した者」とは、購入者が契約の申込み又は締結をする意思をあらかじめ有し、その住居において当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をした場合が該当します。

設問の事例では、チラシの表示額と実際の請求額に相当な開きがあることから、消費者は、当初修理依頼をした段階では、安価なチラシの表示額で契約を締結する程度の意思しか有しておらず、実際に請求された高額な請求額で契約を締結する意思は有していなかったことは明らかです。

このような事情により、当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をしたといえないのであれば、「請求した者」とはいえず、適用除外の対象とはならないと考えられます。




新着情報一覧

▲ページのトップへ