首掛け式ウイルス除去剤〔消費者庁が措置命令〕
2021.06.14

消費者庁は11日、ウイルス除去をうたった空間除菌商品「ウイルオフ ストラップタイプ(大木製薬)」の店頭POP表示が景品表示法違反に当たるとして、株式会社ププレひまわりに対し、措置命令を発出しました。

ププレひまわり社は広島県内でスーパードラッグひまわり等の店舗を展開するドラッグストアチェーンで、POP広告に『消費者庁公認』や『オフィスや外出時』と記載し、外出先のさまざまなシーンで空間除菌の効果が得られるような表示をしていました。

しかし、消費者庁が公認した事実はなく、効果を裏付ける根拠もありませんでした。

首掛け式ウイルス除去剤については、過去にも行政処分が行われており、とくに二酸化塩素を用いた空間除菌商品については、根拠もなくウイルス除去をうたった商品が後を絶ちません。


平成26年には消費者庁が二酸化塩素を用いた空間除菌グッズを販売する17社に対し、一斉に措置命令を発出した他、昨年5月15日には同様の事業者5社(社名等非公表)が行政指導を受け、同年8月28日には「ウイルスシャットアウト」を供給していた株式会社東亜産業に措置命令が発出されました。

                 ― 消費者庁の注意喚起資料より —


【表示のカラクリに注意】
こうした空間除菌商品はドラッグストアなどの店頭でも目に付くところに配置され、新型コロナ禍も相まって関心が高まっています。

あたかも新型コロナウイルスに効果があるような表示がなされているケースもありますが、これらの空間除菌商品は医薬品や医薬部外品でもなく、単なる雑貨であり、厚生労働大臣や都道府県によって承認されている訳でもありません。

ウイルス除去試験で99.9%の除菌効果が得られたなどとする記載もありますが、試験は10リットルの密閉空間で行われているケースもあり、これはトイレットペーパーを6個(2個×3列)並べた程度の空間に過ぎません。
※JIS規格 P 4501

そもそも密閉空間で行った試験結果を、身の回りの生活空間にそのまま当てはめて効果を標ぼうすること自体に無理があります。

外出先はもとより室内空間においても対流による空気の移動は起きており、実際の生活空間において試験環境と同等の効果が得られるのか甚だ疑問です。
風通しの良い場所で使用した場合、効果はほとんどないと考えるのが自然ですし、供給業者はこうした実際に即した環境下で試験を行うべきでしょう。


【二酸化塩素による除菌商品】
二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、 2008年頃より市場での販売が確認されており、現在ポピュラーなものとして大幸薬品のクレベリンが挙げられます。

中には特定の感染症の予防効果をうたう商品もあり、薬機法に抵触する恐れもあるとして、2010年に国民生活センターがテストを実施、不適当な表示の監視・指導を徹底するよう要望しています。

現在、二酸化塩素による空間除菌商品は「ウイルオフ」のような身体装着型の他、据え置き型やスプレータイプなど様々なものが販売されており、最近では新型コロナウイルスの感染防止目的で販売、購入されていることが多いようです。

二酸化塩素自体は反応性に富んだ酸化作用を有するため、標的とする細菌やウイルスのタンパク質を変性させることで、ウイルスの機能低下や除菌が可能です。

しかし、どの濃度で効果があるのか、人体への安全性に問題ないのか、といった点については明確にされていないのが現状です。


【二酸化塩素の安全性】
現在、日本国内で二酸化塩素に関する環境基準(濃度基準値)は設けられておりません。

米国の職業安全衛生局(OSHA) では二酸化塩素の吸入暴露許容濃度(8時間加重平均:0.1ppm)を定めており、世界保健機関(WHO)も推定値として最大暴露濃度(8時間加重平均:0.1ppm)を発表しています。
※「二酸化塩素の自主運営基準設定のための評価について」日本二酸化塩素工業会より

当然、国内で販売されている二酸化塩素を用いた空間除菌商品については、これら海外の最大暴露濃度も参考に作られていると思われますが、6畳相当(25平方m)閉鎖空間での実験データ(二酸化塩素;0.01ppm)などが確認されるだけで、より狭い空間(トイレや自動車内)や、首から下げた際の吸引濃度について、わかりやすく示されたデータは確認できません。

週刊日本医事新報4959号(日本医事新報社・2019年05月11日)においても、大久保 憲氏(幸寿会平岩病院病院長/ 東京医療保健大学名誉教授 )が質疑応答コーナーの中で、市販の二酸化塩素製剤の殺菌効果に一定の評価はできず、人体への安全性も確立されていない、と指摘しています。



【新型コロナと関連付けた商品に注意】
「空間除菌商品」では二酸化塩素を用いた商品以外にも、亜塩素酸による除菌効果や空間除菌をうたったスプレーが消費者庁により行政処分の対象となっています。

今年に入ってからも3月4日と4月9日の2回にわたり、消費者庁が亜塩素酸を用いた空間除菌スプレーを供給する5社に対して措置命令を発出しています。

〔亜塩素酸スプレー 景品表示法違反事業者と商品名 2021年〕
 ・レック株式会社         「ノロウィルバルサン」 
 ・三慶株式会社          「ケア・フォー ノロバリアプラス スプレー」 
 ・株式会社IGC         「Super Killer-V(スーパーキラーV)」
 ・アデュー株式会社        「BMV Blocker(BMVブロッカー)」
 ・株式会社ANOTHERSKY  「AIROSOL(エアロゾール)」

この他、新型コロナウイルス感染症に乗じて予防効果を標ぼうする「健康食品」や「マイナスイオン発生器」、「アロマオイル」、「光触媒スプレー」といった商品も市場に出回っており、消費者庁も改善要請や行政処分で対策を取っていますが、悪質な業者では「予防」を「対策」に書き換えて表示してすり抜けるなど、消費者の不安心理につけ込んだ商品の販売は続いています。

そもそも新型コロナウイルスへの感染対策は、ワクチン接種を筆頭に手洗いやうがいの励行と、人が密集する場所を避けるといった基本に変わりはありません。

新型コロナ禍を商機として消費者の不安に付け込む商法に惑わされないよう、正しい知識を身につけることも大切です。

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